シドニー発--将来的にウェブをデスクトッププラットフォーム化していくには、ブラウザソフトウェアの最先端機能を完全に取り込むほかない。
Google MapsプロジェクトのリードエンジニアLars Rasmussenが、こうした提言を行った。
当地で開催中のウェブエンジニア向けカンファレンスで講演したRasmussenは、Google MapsがXSL(Extensible Stylesheet Language)標準やMicrosoftのVector Markup Language(VML)を利用していることを例に挙げ、これらの技術は有用であるにも関わらず、ウェブ開発者はほとんど利用していないと指摘した。両技術をサポートしているブラウザは、確かに数が少ない。
ユーザー向けのブラウザで提供可能な最高のテクノロジーをウェブアプリケーションでも利用できれば、「ウェブアプリケーション開発者も、ブラウザを使用するうえで実に刺激的なエクスペリエンスを得られるようになる」と、Rasmussenは話している。
例えばGoogle Mapsは、Internet ExplorerではVMLを用いて地理上の拠点間に青いラインを表示させられるが、Firefoxブラウザにおいては、PNG(Portable Network Graphics)フォーマットを使用し、直線的な描写で代用している。
シドニーに活動の拠点を置く開発者Rasmussenは、Google Mapsをリリースしたことで、AJAX(Asynchronous JavaScript and XML)技術を利用した開発への関心が大いに高まったと語る。
Rasmussenは、みずからのベンチャー企業Where 2 Technologiesが2004年8月にGoogleによって買収される以前の時代を振り返り、「Google MapsはもともとC++アプリケーションで、個別にダウンロードされる形を取っていた」と述べた。
だがこうしたスタイルは、ベンチャーキャピタルの獲得に奔走していたRasmussenやその同僚らが、Googleに対しマッピングの専門技術を提供するようになってから変わったのだという。
その時点で、Rasmussenのチームもまたそれまでの開発モデルを変更し、ウェブに力を入れるようになった。「ウェブブラウザでできることを目の当たりにして、わたちたちは驚愕した」(Rasmussen)
第一にウェブの場合、ユーザーが何らかのソフトウェアをインストールする必要もないので、ユーザーにアプリケーションを速く展開することができる。また、異なるブラウザ上でコードを確実に動作させるのは、Mac OS XやWindowsなどの異なるオペレーティングシステム上でこれを実現するより、はるかに容易だ。
もっとも、ブラウザでは、プログラマがメモリやCPU処理能力、ハードディスク容量などのコンピュータリソースに完全にはアクセスできないという欠点もある。Rasmussenは現行のシンプルなウェブブラウジングエクスペリエンスを今後も維持すべきだと考えているが、エンジニアはこうしたボトルネックが将来的に排除されることを期待している。
Rasmussenはこうした背景から、Google Mapsに酷似しているものの、3次元モデルを利用し、事前のダウンロードを必要とするGoogle Earthには、失望感を覚えているという。「努力を重ねたが、これをJavaScriptで実現することはまだできていない」とRasmussenは話し、いずれはGoogle EarthとGoogle Mapsが1つのウェブアプリケーションとして融合することを願っているとした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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