新しい児童監視システムを採用していたカリフォルニア州の田舎町サッターの小学校が、保護者やプライバシー擁護団体の反対を受けて、同システムの利用を急きょ打ち切った。
カリフォルニア州の州都サクラメントから40マイル(64キロメートル)北にあるBrittan Elementary Schoolは米国時間15日、生徒の居場所を追跡するハイテクシステムの利用を中止すると発表した。理由は、システムを提供する会社が契約から手を引いたためだという。保護者と米国自由人権教会(American Civil Liberties Union:ACLU)の代表者が先週の教育委員会で苦情を申し立てたことを受け、システムを納入する予定だったInComはプロジェクトの中止を決定した。保護やACLUが繰り広げた反対運動は話題を呼び、多数のメディアによって報道されている。
保護者とプライバシー擁護団体が懸念したのは、小さなRFIDタグが内蔵されたカードが児童のプライバシーを侵害すること、そして無線が健康に害を及ぼす可能性があることだった。
「RFID技術を用いて児童を監視しようなんて、ひどい考えだ」と電子プライバシー情報センター(Electronic Privacy Information Center)のCedric Laurantは声明の中で述べた。「このシステムの下では児童が家畜や荷物のように扱われる。それにより、彼らの人間としての尊厳やプライバシーが侵害される。管理やセキュリティ面においてわずかに利点があるとしても、支払われる金額と失われるプライバシー/尊厳には見合わない」(Laurant)
保護者やプライバシー擁護団体は、InComと同校が交わした契約にも疑惑の目を向けている。InComは、サービスや機器の代金を同校に全く請求しないだけでなく、ほかの学校への売上の一部を同校に提供すると約束していた。また、InCom創業者の1人は同校のネットワーク管理を請け負っている。
InComの広報担当から、本件に関するコメントを得ることはできなかった。同社は今週、テキサス州サンアントニオで開かれるAmerican Association of School Administrators Conferenceでこの技術を宣伝する予定だ。
カードを配られていた生徒160人はすべて、16日にカードを返却した。校長のEarnie Grahamは、同プログラムが無くなったのは残念だと語った。「非常に大きな損失だ」と校長は言う。「最先端に立つチャンスだった」(校長)
同校は「無線出欠確認プログラム」の一環として、7年生と8年生の生徒におよそ1カ月前にカードを配布した。生徒は首からカードを下げ、教室の入口でそれを読み取り装置にかざしていた。これにより出欠確認のミスが減り、教師や管理者の時間が節約されると、同校は期待していた。
同システムは、生徒の居場所を記録したり、「セキュリティ向上」のために、登下校を監視したりできたと、InComのウェブサイトにはある。
学生カードには、企業がセキュリティ目的で従業員に配布する入館カードと同じ技術が採用されている。有料道路の料金所でも、類似のシステムが採用されており、プログラムに契約したドライバーはスムーズに料金所を通過できる。RFID技術は最近、小売チェーンやパスポート、カジノ、図書館で使われるようになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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