IBMは2005年に、自社のブレードサーバやApple Computerのマシンに採用予定の次世代PowerPC 970プロセッサへ、現在はハイエンドサーバにしか搭載されていない重要な機能を移植する計画を進めている。
IBMのKarl Freund(eServer pSeries担当バイスプレジデント)によると、この次世代チップには複数のOSを同時に動かせる技術が盛り込まれるという。これにより、1台のコンピュータで同時に処理できる作業の数が増え、マシンの利用効率が向上する。
パーティショニングと呼ばれるこの技術は、マシンとその上で動作するOSとを切り離す仮想化の概念を利用したもの。今のところ、パーティショニングはPower4やPower5プロセッサを採用するIBMのハイエンドサーバと、競合するSun MicrosystemsやHewlett-Packard(HP)-Intelの設計したサーバにしか搭載されていない。
Freundは米国時間21日に行われたインタビューのなかで、「Powerプロセッサの全製品に仮想化機能を搭載するのが目標だ。われわれはこれを低価格化し、BladeCenterなどの製品にも搭載していきたいと考えている」と語った。
Freundによると、Power4やPower5チップを採用するサーバでは、管理コンソールというハードウェアがパーティション管理用に別途必要だという。IBMの計画によると、次世代PowerPC 970では、この管理コンソールの機能をハードウェアではなく、別のパーティション内にあるソフトウェアで実現することになる。
Freundは、同チップの開発状況について「現在、設計の最終段階にある」と述べただけで、投入が2005年のいつ頃になるかについてはコメントを控えた。また、Appleがこの新チップを採用する予定である、と同氏は付け加えた。
同氏は、新チップに採用される可能性があるデュアルプロセッサコア機能についてはコメントしなかった。今日の主力チップの大半はプロセッサエンジンを1つしか持っていないが、IBMのPower4とPower5は、1つのチップの処理能力を高める手段として、このようなエンジンを同一チップ上に2つ持っている。
現在、SunとHPもデュアルコアチップを販売している。2005年には、IntelとAMDからもデュアルコアチップが登場する予定だ。そのため、IBMが自社のPowerPC 970シリーズにこのアイデアを取り入れるのも当然のことだ。
Insight64のアナリスト、Nathan Brookwoodは、「IBMはPowerシリーズでデュアルコア技術の最先端を走ってきた。したがって、IntelやAMDなどの企業が2005年にIBMを出し抜いて商用市場へデュアルコアを投入してしまうと、同社にとってはあまりに決まりが悪くなる」と語った。
デュアルコア技術を採用した場合、チップの大型化による製造工程での採算悪化が懸念されるが、しかし、IBMの場合このような影響を受けることは考えにくいとBrookwoodは語る。
「現行の970FXが約60平方ミリメートルなので、デュアルコアバージョンは120ミリメートルになる。それでも、Intelのシングルコアデザインとほぼ同じ大きさで、AMDのシングルコアデザインよりわずかに大きい程度だ」(Brookwood)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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