IBMは同社のPowerプロセッサのより幅広い用途に適応した利用を促進するため、他の14社との提携を開始した。
Power.orgと呼ばれる今回の提携は、特定用途向けにプロセッサをカスタマイズしやすいよう、Powerプロセッサに含まれるべき標準機能の決定や、内部データ回路のデザインについて話し合いを行うものだと、IBMのシステム技術グループのバイスプレジデントLisa Suは述べている。
今回参加を表明した企業は、電化製品界の巨人ソニー、LinuxディストリビュータのNovellとRed Hat、プロセッサエンジニアリング向けのソフトウェアを開発するCadence Design SystemsとSynopsys、半導体メーカーのChartered Semiconductor、コンピュータメーカーのWistronとJabil Circuit、Bull、プロセッサ設計会社のAMCCなど。同社は現地時間12月1日に、中国の北京で開催されているPowerEverywhereと呼ばれるイベントで今回の提携を発表した。Power.orgでは、12月2日に同グループのウェブサイトを公開する予定だという。
IBMのPowerプロセッサファミリの中でもとりわけ有名な2つの製品といえば、同社製Unixサーバで採用されているPower5と、同社製ブレードサーバやApple ComputerのデスクトップPC/サーバで採用されているPowerPC 970 FXだ。またソニーとMicrosoftも、次世代ゲーム機でPower技術を用いたプロセッサを採用するものと見られる。Powerプロセッサではそのほかにも、各種組み込み向け機器や、IBMが世界記録をマークしたスーパーコンピュータのBlue Gene/Lで採用されている。
今回の提携の目的の1つは、Powerプロセッサの利用促進である。IBMでは、100万個以上のPowerPC 970を出荷していると発表している。だが幅広い用途でPowerプロセッサが利用されるようになるにつれ、IntelのPentiumやAdvanced Micro Devices(AMD)のOpteronといった市場を独占するx86ファミリプロセッサ群との競争も激しくなっている。
さらにIBMは同日、液浸リソグラフィ(Immersion Lithograpy)と呼ばれる新しい製造技術を使ったプロセッサのテストに成功したと発表している。同技術は、光線が液体の中に進むと屈折する性質を利用したもので、プロセッサ製造のもとになるシリコンウエハ上により細かい情報を書き込むことが可能になる。
IBMでは、Power技術のライセンスを他社にとって利用しやすいものにし、プロセッサデザインに役立ててもらおうと努めている。この方針の促進のため、IBMは12月1日、今月出荷されるPowerPC 440Sと2005年第1四半期に出荷予定のPowerPC 405Sという2つの新しい統合モデルを発表している。両プロセッサとも、IBMの工場設備でなくとも製造しやすい点が特徴だ。また、ネットワーク機器向けのPowerPC 450も、2006年に登場する予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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