サン・マイクロシステムズは11月30日、同社のサーバOS最新版となるSolaris 10を発表した。同バージョンよりライセンス料は1〜4CPUに限って無償となる。またサンでは、近い将来同OSをオープンソース化することも発表している。
同社代表取締役社長のダン・ミラー氏によると、サンの年間研究開発費20億ドルのうちSolarisの研究開発費は5億ドルで、開発リソースは年間のべ3000人。同社がいかにSolarisを重視しているかがわかる。新バージョンでは600以上もの新機能が加わり、Linuxアプリケーションをネイティブでサポートする。
サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 ダン・ミラー氏 |
Solaris 10では、これまで32ビットのみサポートしていたAMDの32/64ビットプロセッサOpteronの64ビットもサポートし、Opteron完全対応となる。Opteron以外にも、サンが自ら開発するSPARCはもちろん、x86やEM64Tなどをベースにした270以上のハードウェアで動作し、「Solarisの役目は、ハードウェアプラットフォームが何であれ、セキュアで安定したコンピューティングを提供することだ」(同社 専務取締役 営業統括本部長 末次朝彦氏)としている。
セキュリティ機能の強化については、同社がSolarisの高セキュリティ版として国防総省などに提供しているTrusted Solarisの機能を、徐々に標準のSolarisにも取り入れていくとしている。今回のバージョンに追加されたのはプロセス実行権限の管理だ。最大の権限を持つrootユーザー権限をプロセスごとに分割・運用する機能や、個々のプロセスの実行に必要とされるアクセス権限のみを適切に配分する機能を備えている。この機能により、外部から侵入するコンピュータウイルスが特権を持つことが防げるという。
また、予測的セルフヒーリング機能では、システム状態の監視・情報収集による問題検出と問題点の解析、問題発生ポイントの切り離し、プロセスの再起動など、これまで人手による対応が必要とされていた運用管理や問題修復に関わる作業に、システム自身で自動的に対応するという。
さらにSolaris 10では、前バージョンに比べて大幅に性能が向上しているという。同社 プロダクトマーケティング本部 本部長の纐纈昌嗣氏は、同一ハードウェアを利用した場合でもRed Hat Linuxより高性能であることや、アプリケーションやCPUを入れ替えることなく、OSを新バージョンに入れ替えるだけで性能が向上するとアピールしている。
Solarisの無償化・オープン化
Solarisを無償化することについて末次氏は、「業界の流れに沿った動きだ」と述べる。同氏はSalesforce.comを例に出し、「Salesforce.comは立派なソフトウェアを抱えているにもかかわらず、ライセンスを販売するのではなく、サービスを販売して使用料を取っている。つまり、ネットワークの進化と共に業界が変わっていくのだ。Solaris 10も業界をリセットする役目を果たすだろう」としている。
Solaris 10の使用権は無償だが、年間更新制のサポートサービスを有償にて提供する。利用するシステム構成と用途に応じたサポート内容によって、ベーシックサービス、スタンダードサービス、プレミアムサービスの3種類が用意され、CPUあたりの年額標準価格は、ベーシックサービスが1万4400円、スタンダードサービスが2万8800円、プレミアムサービスが4万3200円(すべて税別)となる予定。
同OSのオープンソース化については、すでに同社が今年春より取り組んでおり、来年にも実現するとされているが、具体的な方法や時期については確定していない。纐纈氏は、「現在はコミュニティと話を進めている段階」としている。また、ミラー氏は、「Solarisのオープンソース化は、(Javaの標準仕様を決める機関である)Java Community Processに対してJavaをオープンソース化した方式が大きなヒントとなるだろう」と述べている。
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