Advanced Micro Devices(AMD)は、PCおよびサーバ向けのプロセッサ製品群全体の改善につながるチップ製造技術の節目に到達したことを明らかにした。
同社は米国時間17日、一度延期された期限に間に合わせ、新しい90ナノメートルプロセスでチップの製造を開始したことを正式に認めた。AMDは同時に、PCに搭載されるこれらのプロセッサの第一弾が、低消費電力モバイルAthlon 64チップファミリーになることも明らかにした。同社の関係者は、このチップを搭載したノートPCが「数カ月以内」に発売されると話している。
一般的に、製造プロセスを変更すれば1つのチップに集積可能なトランジスタ数が増え、チップメーカーはパフォーマンスを引き上げられるようになる。またプロセスを移行することで、設計や他の環境によっては、コストや消費電力の削減にもつながる。
ただし、製造プロセスの移行は簡単には進まない。先に90ナノメートルチップの生産を開始していたIBMとIntelは、ともにスケジュール通りの出荷ができず、十分な供給量を確保するのに苦戦した。同様に、90ナノメートルチップを当初は昨年終わりに製造開始する予定だったAMDも、一部の90ナノメートルチップについてはリリーススケジュールを2005年に変更している。
「Oakville」(開発コード名)というプロセッサコアをベースにするモバイルAthlon 64チップの第一弾は、この製造プロセスを利用して、消費電力の削減を図っている。同チップに詳しい情報筋によると、新しいチップの消費電力は平均約31ワットで、AMDの既存の低消費電力モバイルAthlon 64と比べて約10%減になるという。
AMDは声明を発表し、今四半期中にも90ナノメートルのAthlon 64をデスクトップPC向けに投入すると述べている。90ナノメートルプロセスのデスクトップ用チップに与えられるモデル番号はまだ明らかになっていないが--同社関係者は詳細を明らかにすることを控えた--、AMDがこのプロセスを使ってデスクトップシリーズのパフォーマンスを一気に引き上げてくる可能性が高い。
Mercury Researchの主任アナリスト、Dean McCarronは、製造プロセスの移行によってAthlon 64を強化することは、AMDにとって「Athlon 64製品の拡大につながり、(Intelとの戦いで)これまでより有利な立場に立てるようになる。(AMDが)Athlon 64で戦える市場は、Athlon XPだけの場合より全体的に大きい」と語った。Intelは、Athlon XPを低価格チップだとして封じ込めようとしたが、「(Athlon 64を)封じ込めることはできない。直接競合する製品なのだ」(McCarron)
AMDは声明の中で、Opteronサーバチップも今年中に90ナノメートルプロセスでの製造を開始する、と述べている。同社では、ハイパフォーマンスバージョンと、おそらくノートPC用となる低消費電力バージョンのOpteronを90ナノメートルプロセスで製造する可能性が高い。
さらに、同社は90ナノメートルプロセスを使用する低価格PC用プロセッサのSempronを2005年上半期に製造する予定だ。したがって、来年前半にはAMDの全プロセッサシリーズに、90ナノメートルチップ製品が加わることになる。
製造プロセスの移行は、AMDの業績にとっても重要な事柄となる。チップのサイズを縮小できれば、生産量を増やし、1個あたりの製造コストも引き下げられる。生産量の拡大とコストの低下というこの2つの要因は、同社の四半期の売上と利益に影響を与えるとアナリストらは述べている。Intelはすでに90ナノメートルプロセスでのチップ生産を始めており、サイズの点ではいまのこころ同社のほうが有利な立場にある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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