Hewlett-Packard(HP)は20日(米国時間)、Microsoftが特許権侵害という法的根拠に基づきオープンソースソフトウェアを攻撃する計画だという内容の、同社幹部が作成した2002年6月付けメモについて、これ以上内容を追及しない趣旨の発言を行った。
HPの最高技術責任者(CTO)のオフィスに勤めていた当時の戦略的アーキテクチャ担当バイスプレジデントGary Campbellは、複数のHP幹部に宛てたメモの中で「Microsoftは法律というシステムを使ってオープンソースソフトウェアを封じ込めようとしている」と述べていた。「Microsoftは、オーンソースソフトウェアが特許権を侵害しているとして、(コンピュータメーカーや)Linuxベンダ、そして、ひょっとすればオープンソース開発者を攻撃する可能性がある」(Campbell)
このメモが書かれたのは、それまで無名な存在だったLinuxが、Microsoftのプロプライエタリなオペレーティングシステム(OS)に代わるものとして人気を博すようになり始めた頃だった。Linuxの利点として挙げられたのは、初期導入時のコストが安いことや、ソフトウェアが書かれる際に多くの開発者が参加できることなどだった。HPはオープンソースソフトウェアを支持する一方で、Microsoftとも親密な関係にある。
Campbellによると、Microsoftが「特に怒っていた」のは広く利用されている3つのソフトウェアパッケージについてだった。まず、Windowsのファイルおよび印刷ソフトウェアをエミュレートすることによりWindowsやLinuxなどのシステム間でのファイル共有をするのに使われるSamba、ウェブサイトを開設するのに使われるApache、そして、電子メールをインターネットや内部ネットワーク上で送受信するのに使われるSendmailの3つだ。
HPの広報担当者Elizabeth Phillipsは、オープンソースニュースサイトNewsforgeで最初に公開されたこのメモについて、情報は信頼に足るが、HP顧客にとっても一般のオープンソースソフトウェアユーザーにとっても「今日の状況には当てはまらない」と述べた。「このメモは2年以上前のもので、業界全体にとって、今とは状況が違うと確信している」(Phillips)
また同氏は、Samba、Apache、Sendmailに関する「特許権は侵害していないと、HPでは認識している」と述べた。また、Campbellの意見がMicrosoftからの情報に基づいたものだったのか否かについては、言及していない。
商品のなかでSamba、Apache、Sendmailを使うLinuxベンダ大手のRed Hatは、HPの発言を受けて声明を出した。そのなかで同社広報担当者のLeigh Dayは「われわれのオープンソースソリューションは第3者の正当な知的財産権を侵害していないと確信している」と述べている。2番手のLinuxベンダNovellの広報担当者からは、即時のコメントを得ることはできなかった。
これまで、Microsoftはオープンソースソフトウェアの特許権侵害を理由とした提訴はしていないが、これまで積極的に知的財産のライセンスプログラムを拡大してきている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」