Enterprise Grid Alliance(EGA)は7月5日、アジア太平洋地域におけるグリッドの普及促進に向けて、EGA日本運営委員会を設立したと発表した。EMCジャパン、日本ヒューレット・パッカード、日本ネットワーク・アプライアンス、日本電気、日本オラクル、サン・マイクロシステムズの6社により結成され、日本企業のEGAへの参加促進や規格の普及などを中心に活動を行う。EGA日本運営委員会の議長は、日本オラクルの鈴木俊宏氏が務める。
EGA日本運営委員会議長を務める鈴木俊宏氏 |
EGAとは、エンタープライズグリッドのソリューションの開発および導入促進を目的とするコンソーシアムで、今年4月20日に発足したもの。現時点あるいは数年以内に実現可能な技術を中心に開発し、企業内および企業間レベルでのコンピューティングに焦点をあてたグリッドを実現する。EGAは、オープンで特定のベンダーに偏らない中立的な組織としており、成果はロイヤルティフリーで技術コミュニティに提供するという。
EGAのアプローチとしては、単一の企業内や商用アプリケーションなどのコア機能にフォーカスする第1フェーズ、複数の企業間や技術アプリケーションなど拡張分野にフォーカスする第2フェーズ、そして第1、第2フェーズを統合し、ユーティリティコンピューティングを考慮したエンタープライズグリッド環境をつくる第3フェーズという段階的な戦略を取るとしている。そのなかで、既存技術や仕様が利用可能であるかどうかを判断し、概念の検証、デモの開発、ソリューションの調査を行うという。また、関係する業界団体へ案件を提出し、必要に応じて仕様やリファレンスモデルを開発するとしている。
日本での運営委員会設立の背景について議長の鈴木氏は、「プロセッサ、ブレードサーバ、ストレージ、ネットワークなど、グリッドで必要とされるそれぞれのコンポーネントは出そろいつつあり、ハードウェアとソフトウェアの協調動作が求められている。また、ベンダー各社はグリッド技術を積極的に推進し、ユーザー企業も導入を加速するなど、グリッドに関しては技術の立ち上がりや採用が速いことが特徴だ。これに伴い、日本国内におけるベンダーとユーザーのパイプ役を務め、国内でのオープンなエンタープライズグリッド環境を奨励することが日本運営委員会での役割だ」と語る。
具体的にEGA日本運営委員会では、日本でのEGAメンバーの勧誘や、日本におけるEGA標準仕様の展開、日本グリッド協議会をはじめとする他団体とのリエゾン関係の確立、日本からの要求事項の収集とフィードバックなどを行うとしている。また、鈴木氏は「日本国内のみならず、アジア圏に対してのEGA活動の足がかりとなりたい」と述べている。
EGAは、日本の他に欧州でも地域委員会を設立するとしている。また、他のコンソーシアムや標準開発機関とも協力関係を結ぶべく、交流を進めているという。協力関係を結ぶ団体の候補としては、DMTF(Desktop Management Task Force、パソコン・周辺機器の管理標準を策定する業界団体)、GGF(Global Grid Forum、グリッドコンピューティングの方針や技術の研究を行う組織)、OSDL(Open Source Development Labs、Linuxのビジネス利用を推進するための組織)、SNIA(Storage Network Industry Association、ストレージおよびSANに関する業界標準化団体)などを挙げている。
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