IBMは7月13日(米国時間)に、同社のPower5プロセッサを搭載したシステムの第2弾にあたる、新世代のUnixサーバを発表する予定だ。複数の情報筋が明らかにした。
IBMの計画に詳しい筋の話では、同社はそれぞれ2基、4基、16基のプロセッサを搭載する3つのモデルを発表すると見られている。また同社は、その後に最高位機種となる64基のシステムを発売するが、このモデルの発売は来四半期以降になりそうだ。
IBMではこの話題に関するコメントを差し控えた。
非常に競争の激しいUnixサーバ市場で、IBMは長年、1位のSun Microsystemsと2位のHewlett-Packard(HP)に続く3位の座にあった。しかし、同社は最近になってシェアを伸ばしてきている。調査会社のGartnerによると、2003年のIBMの売上は13%増加し41億ドルに達した。一方Sunは16%減少して54億ドル、HPも4%減の53億ドルだった。
IBMは現在、同社版のUnixであるAIXが稼動するpSeriesモデルと、OS/400およびその後継にあたるi5/OSが稼動するiSeriesという2つのサーバシリーズの統合を進めている。両シリーズはここ数年互いに似かよってきており、Power5ベースのシステムが出されると、ハードウェアは全く同じものになった。これらのマシンでは「パーティショニング」という技術によって、同じシステムでAIXとi5/OS、Linuxを動作させることが可能だ。
IBMはi5/OSを搭載した初のPower5システムを5月に発売した。同社はこのシステムに、iSeriesではなくeServer i5という名を採用し、同社のサーバグループの統合が進んでいることを強調した。
AIXを搭載したシステムも、同様にeServer p5という名称になった。そのため、i5/OSとAIXのどちらをメインに販売されるかによって、たとえば16プロセッサのモデルならi5 570もしくはp5 570と呼ばれることになる。
Power5は、既存のPower4 モデルと同様、シリコンの各片に2つのプロセッシングユニットを持つ「デュアルコア」と呼ばれる設計を採用している。しかしPower5の各コアでは、「スレッド」という命令シーケンスを2つ同時に実行できるため、各シリコン片では見かけ上従来のプロセッサ4基分の処理を行なう形となる。
Power5プロセッサは、1.5GHz、1.65GHz、1.9GHzの3つのモデルが発売になると、同製品に詳しい情報筋は述べている。このチップは130ナノメートル(10億分の1メートル)プロセスで製造されるが、次のPower5+バージョンでは90ナノメートルプロセスが採用され、より小型で熱放出の少ないチップになると見られている。
このチップはまた、パーティショニングの点でもPower4の各モデルよりも進んでいる。Power4では、1プロセッサで動かせるのは1つのOSに限られていたが、これに対しPower5では同社が「マイクロパーティショニング」と呼ぶ技術を使って、最大で10種類の異なるOSを取り扱えるようになった。そのため、たとえばp5 570サーバの場合、同時に160のOSを走らせられるという。
IBMは、これまでメインフレーム製品ではパーティショニング技術を何十年も採用してきた経験があるが、しかし大きな市場であるUnixサーバ向けでこの技術の先駆けとなったのはSunだ。IBMのp5とi5で採用されるパーティショニング技術の重要な部分は、HyperVisorと呼ばれる元々メインフレーム製品用に使われてきた技術だ。
パーティショニングに関して、Power4からPower5への移行で大きく改善される点は、「仮想化」とよばれる抽象化のテクニックだが、これを利用することにより、複数のパーティションで同じネットワークやストレージアダプタを共用できるようになる。Power4の場合、各パーティションごとに独自のアダプタを必要としたため、実用上で大きな制約となっていた。
パーティショニングは、ローエンドのサーバの数が増大するのを抑えようとしている企業の間で、現在流行している技術だ。ローエンドのサーバを数多く保有すると、管理が困難になり、また各サーバもほとんど遊んでいる状態になってしまうことが多いが、パーティショニング技術を使って大規模なサーバを効率よく動かせれば、必要な台数も少なくて済む。
Sunの次期OSであるSolaris 10には新しいパーティショニング機能が搭載され、同社ならびに富士通製のSparcプロセッサ搭載サーバだけでなく、IntelやAMD製のチップで動くマシンでも、この機能が使えるようになる予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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