Microsoftは、高性能コンピューティング分野への参入を正式に表明した。この分野は、競合するLinuxが好調なニッチ市場だが、同社はこの分野向けのWindows OSを開発し、最初のバージョンを2005年第2四半期に投入する予定だという。
CNET News.comが最初に報じた通り、現在開発が進められている「Windows Server 2003 HPC Edition」には、高速ネットワークで接続したクラスタマシン上でWindowsを稼動し、単一のコンピューティングリソースを構成する機能が含まれている。Microsoftは23日(米国時間)に発表した声明のなかで明らかにした。
Microsoftはこの声明のなかで、IBM、Dell、Hewlett-Packard(HP)、Advanced Micro Devices(AMD)、Intelなどの大手メーカー各社が、新OS「HPC Edition」をサポートすることも明らかにしている。他にも、クラスタコンピューティングを専門とするVerari Systemsや、スーパーコンピュータへのWindows搭載に長年取り組んでいるCornell Theory Centerがパートナーに名を連ねている。
クラスタは、スーパーコンピューティングの主要な要素として導入されるケースが増えてきているが、ただし暗号の復号などのタスクにはあまり適応できていない。今週発表された最新版のスーパーコンピュータリストで、上位500位にランクインしたシステムのうち、クラスタに分類されるシステムは291台に上った、と同リストの作成者らは述べている。
そして、クラスタ上で動くOSとしては、Linuxに人気が集まっている。ランキング第2位の「Thunder」というシステムは、California Digitalがローレンスリバモア米国立研究所に納入したものだが、4096基のプロセッサを持つこのシステムではLinuxが動作している。また同ランキングでトップ10に入りしたIBMのBlue Gene/Lプロトタイプも同様だ。
メインストリームを目指して
クラスタ市場がメインストリームユーザーにまで拡大するなかで、Microsoftはこの技術の詳細に関心があり、またその開発に携われる能力を持つハイテク専門家の間に足がかりを得られると考えている、と同社のWindows Server Product Management Groupディレクター、Dennis Oldroydは述べている。
「この市場は学術・政府(分野)から企業に移行しつつある。こうした移行が生じるなかで、人々には馴染みのあるインターフェースが必要になる。彼らはマシンの調整や改造には関心がなく、単に仕事を終わらせたいと思っているからだ」(Oldroyd)
しかし、Microsoftは高性能コンピューティングに関して「コロコロと態度を変えて」おり、市場での競争にも直面している、とMyricomの共同設立者でエグゼクティブバイスプレジデントのNan Bodenは述べている。Myricomはスーパーコンピューティング・クラスタ構築に広く使われているハイエンドネットワーク機器を販売している。
「Windowsの性能を見る限り、現状ではLinuxと競合できるレベルにはない。オーバーヘッドが多すぎるのだ」とBodenは言う。同氏によると、Myricomは高性能クラスタ上でWindowsを動かしたい顧客向けの製品を提供しているが、「しかし、今のところはまだ、この製品にはあまり大きな需要は見られない」という。
Microsoft側でも、こうした状況を理解している。「確かに、クラスタ技術はLinuxを中心として開発が進んでいる。だが、われわれはWindowsを求める顧客からの需要があるのもわかっている」と同社のOldroyd は述べ、「われわれは、他社にはないユニークなものを市場に出せると思う」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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