IBMとソフトウェアメーカー各社は16日(米国時間)、ビジネスアプリケーションを改訂してグリッド対応にしたと発表した。グリッドコンピューティングに対する人々の関心を高めるのが狙いだ。
グリッドコンピューティングとは、複数のマシンに作業負荷を分散させ、タスク処理を効率化させるための技術で、学術分野や専門的な商用環境で主に利用されている。
IBMのパートナー企業が販売しているのは難解な科学プログラムではなく、むしろ、一般的なビジネスアプリケーションだ。たとえば、サーバ上でデスクトップアプリケーションを稼働させるCitrixのMetaFrameや、CognosやActuateのビジネスレポート作成ソフトウェアなどが含まれる。
IBMは今年に入り、同社のアプリケーションプロバイダパートナーの製品を「グリッド対応」とさせるための取り組みを開始した。今回の新しいビジネスアプリケーションはその最初の成果である。IBMはこの取り組みの一環として、現在販売されているグリッド対応ソフトウェアを最大限活用する方法について、技術的なリソースやアドバイスを提供している。製品のグリッド対応を完了したアプリケーションメーカーはこの他に、Engineous SoftwareやSefasがある。また、複雑計算処理ソフトウェア販売しているAbaqusやFluentも、製品のグリッド対応を済ませている。
IBMでは他の企業もアプリケーションをグリッド対応にするものと期待している、と同社のグリッド提携担当幹部Steve Gordonは述べている。IBMはグリッド対応アプリケーションを提供することで、顧客に現実世界におけるグリッド技術の利用方法を示し、ハードウェアやソフトウェア、サービスの売上増加につなげたい考えだ。
「商用レベルの作業をより多くグリッドで処理できるようになれば、顧客の需要に応えられるようになる。これはちょうど初期のLinuxに似ている。最初は一部(の顧客)に無理に使ってもらっている感じもあったが、大手企業が現れると、誰もがそれに倣うようになった」とGordonは、1990年代にIBMがLinuxオペレーティングシステム(OS)を推進した際の取り組みに言及する。
IBMはグリッドのコンセプトの推進に重点的に取り組み、プログラムをグリッドコンピューティングに対応させるべく、できるだけ多くの開発者を投入しようとしている。同社は先月、IBMが管理しているグリッドシステムに開発者が無料でアクセスできるようにするプログラムを開始した。
CitrixはMetaFrame製品の「グリッド」バージョンを別に用意して販売する計画はない、と同社の戦略提携マネージングディレクターChris Fleckは述べている。しかし同社は、MetaFrameが、コンピューティング負荷をネットワーク上で分散させるDataSynapseのグリッド管理ソフトウェアと問題なく動作することをテストした。
Citrixは今後、同社のソフトウェアが他のグリッド管理ソフトウェアとも問題なく動作することをテストし、顧客に最も良いグリッドコンピューティングの実装方法を紹介していく。グリッドは、複数のサーバの空いている処理能力を活用して、コスト効率の高いバックアップやロードバランスのシステムを実現する、とFleckは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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