日立製作所は15日、同社のストレージソリューションを体系化した「DLCM(データライフサイクルマネジメント)ソリューション」を発表した。これは、同社のディスクアレイサブシステム「SANRISEシリーズ」と、ストレージ管理ソフトウェアの「JP1/HiCommand」、および各種ソリューションを組み合わせたもの。
DLCMは、多くのストレージベンダーが提唱するILM(インフォメーションライフサイクルマネジメント)と基本的なコンセプトは同じ。データ量が増加し、データ管理の効率化が求められるなか、データの重要度やアクセス頻度に合った保存方法を提供するというものだ。適切なデータ管理を行うことにより、データの運用が容易になるだけでなく、コスト削減も実現するというのがこのコンセプトの基となっている。
日立製作所 RAIDシステム事業部 事業企画本部長 岡見吉規氏 |
日立ではDLCMを実現するために、これまで提供してきたオンラインストレージを1st Tier(第1層)、オフラインストレージを3rd Tier(第3層)と位置づけ、2nd Tier(第2層)の製品となるニアラインストレージの提供も同時に発表した。ニアラインストレージは、アクセス頻度は比較的低いが即時アクセスが求められるデータに利用されるもので、オンラインストレージより低価格での提供が可能となる。同社の「SANRISE9500Vシリーズ」で、シリアルATAドライブとファイバチャネルディスクドライブの混在を可能とすることにより実現するもの。このような混在が可能なのは「業界初」(日立製作所 RAIDシステム事業部 事業企画本部長 岡見吉規氏)だという。
さらにSANRISE9500Vシリーズでは、データの改ざん防止のためのWORM(Write Once Read Many)機能がハードウェアベースで新たにサポートされる。また、同シリーズの最上位モデルとなるSANRISE9585Vも追加され、現行の9580Vと比較した場合、DBトランザクション性能が1.4倍、シーケンシャル性能が1.2倍向上するという。
また同社は、DLCMソリューションの一環として、「データアーカイブサービス」と「ストレージユーティリティマネジメントサービス」を提供開始する。データアーカイブサービスは、SAPジャパンのSAP R/3システムのデータベースにイキソスソフトウェアの企業コンテンツ管理ソフトウェアIXOS-eCONserverを用いてデータを格納するもの。今秋までにはメールデータのアーカイブサービスも提供予定だという。
ストレージユーティリティマネジメントサービスは、ストレージ容量の提供、維持、管理、保守までをワンストップで提供するもので、ディスク使用容量に応じた従量課金を行うサービス。容量増設頻度が高い場合もこのサービスを利用することでTCOの削減が可能だという。同社の試算によると、4年間で半年ごとに増設を行い、容量を5テラバイトから10テラバイトにする場合、「ストレージユーティリティマネジメントサービスを利用すればTCOを25%削減することができる」(岡見氏)という。
Gartnerの発表では、2003年の外付けディスクストレージ市場で日立の世界シェアは4位。ハードウェアで世界的な存在感を見せる同社だが、DLCMソリューションを導入することでソフトウェア/サービスの売上をさらに伸ばしたい考えのようだ。同社では、今後3年間で40社にソリューションを導入することを目標としている。
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