富士通とサン、Unixサーバの開発・販売で協力へ

Stephen Shankland (CNET News.com)2004年06月02日 11時19分

 メンローパーク(カリフォルニア州)発--Sun Microsystemsと富士通は米国時間6月1日、ともにSparcプロセッサを搭載する両社のサーバ製品を、2006年半ばまでに統合すると発表した。

 Sun最高経営責任者(CEO)のScott McNealyは、当地で開かれた記者会見で、「ローレンジ、ミッドレンジおよびハイエンドの一連の製品を市場に投入していく」と語った。両社の話では、Advanced Product Line(APL)という開発コード名を持つこれらの新製品が、SunのSun Fireおよび富士通のPrimepowerそれぞれの後継機種になるという。

 Sunと富士通は現在、SunのUltraSparcと富士通のSparc64という、異なるチップを搭載したサーバを販売している。両チップとも、SunのSolarisオペレーティングシステムを含む同じソフトウェアを動かせるが、ただしサーバのハードウェア設計が異なっている。

 富士通はすでにSunのUltraSparcを販売している。だが、今回の新しい契約の一環として、製品ライン共通化までの移行期間中に、Sunも富士通のPrimepowerを販売することになるとMcNealyは語った。

 Sunと富士通は、McNealyが富士通の秋草直之会長と会談した2003年に、提携の選択肢を検討し始めた。

 Sunは過去3年間で3度にわたるレイオフを実施し、市場全体が回復基調にあるなかでいまだに売上減少に苦しんでいるが、今回の動きはそうしたなかで発表された。SunのUltraSparcチップは、市場に数種類出回るRISC(縮小命令セットコンピューティング)チップの1つだが、XeonのようなIntelプロセッサから激しい競争を仕掛けられている。

 Sunと富士通はこの提携を通じて、プロセッサやシステムについても協力を進める。まず、富士通が開発を進めるSparc64 VIプロセッサをベースにしたAPLシステムを、両社で販売していく。また、Sunが手がける"Niagara"および"Rock"(ともに開発コード名)チップを採用したシステムも両社で販売する。この2つのチップは、「スループットコンピューティング」の設計が採用されており、1度に複数のタスクを処理できる。

 SunはローエンドのAPLサーバを設計し、ハイエンドのシステムは両社が共同で設計を行うと、Sunの事業開発担当バイスプレジデント Brian Sutphinは説明した。Sunはまた、 "Niagara"および"Rock"をベースにした製品も設計・開発する。

 さらに、どちらかの会社がAPLシステムの販売から得た売上の一部を、他方に分配することになると、McNealyはインタビューのなかで語った。

 この提携が、Sunの現在抱える財務上の問題を解決するのに役立つ可能性もある。Bernstein Investment Research and ManagementのToni Sacconaghiというアナリストが昨年10月に発表した試算では、SunがSparcプロセッサを他社と共同開発すれば年間2億ドルの経費を削減でき、またSparcとサーバ製品の両方を共同開発すれば、年間3〜4億ドルを削減できるとされていた。

 McNealyは、富士通と協力を進めることで、自社の2005会計年度の売上が増加するはずだと語った。同氏によれば、両社は研究、マーケティング、ソフトウェア分野での協力で、Sparc市場が成長すると予想しているという。

 調査会社IDCのアナリストJean Bozmanは、両社の提携関係によって、実際にSparcチップの潜在市場が拡大すると見ている。「この提携で、同アーキテクチャの市場全体が成長する」(Bozman)

 富士通は長年にわたり「Sparc64」という独自のSparcチップ製品を生産してきたが、このチップのハードウェアインタフェースはUltraSparcのものと異なるため、大幅な設計変更を行わないとSunのサーバには搭載できない。

 Sunは、今年初めにハイエンドのUltraSparc Vプロセッサの開発を中止したが、これは今回の富士通との提携とは関係がないと、Sunフェローで、同社のプロセッサおよびネットワーク製品の主任設計者を務めるMarc Tremblayは述べている。同氏によれば、 UltraSparc Vの問題は単に設計を早く始めすぎたことにあり、また現在の市場のニーズにあっていないことだという。

 だが、APLプロセッサは、 UltraSparc Vが残したハイエンドのニッチを埋めることになるだろう。「次世代のAPLマイクロプロセッサは、RISC搭載メインフレームの定義を塗り替えることになる」とMcNealyは述べている。

 Sunは、高価だがパワフルなIBMのメインフレームサーバが搭載するハイエンド機能を自社のUnixサーバに移植する作業に、数年前から取り組んできた。一方で、IBMとHewlett-Packard(HP)は同じような戦略を採っている。メインフレームを販売していた富士通は、障害発生時の命令自動再実行など、高度な機能を自社のSparc64ファミリーに組み込んできている。

 APLチップの製造は富士通が担当し、またRockおよびNiagaraチップについてはTexas Instrumentsに委託すると、 Sunネットワークストレージ製品グループのバイスプレジデントAndy Ingramは説明した。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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