ドイツ、ミュンヘン発--Hewlett-Packard(HP)は、当地で今週開催した顧客向けのイベントで「Darwin Reference Architecture」を紹介したが、「アダプティブエンタープライズ」という分かりにくいコンセプトを理解しようと苦心している顧客にはほとんど役に立たなかった。
HPがアダプティブエンタープライズのビジョンを発表してから1年になるが、同社も顧客もいまだにその実体についてはっきりと分かっていないようだ。
5400人もの参加者を集めたイベント、ENSA@Workの席上で、HPの幹部らは基調講演の時間の多くを割いて、このコンセプトについての追加の説明を行った。
HPのアダプティブエンタープライズ/ソフトウェア担当シニアバイスプレジデントNora Denzelは、5日朝の基調講演の中で、アダプティブエンタープライズ戦略の要素のひとつである「Darwin Reference Architecture」のコンセプトを説明した。この言葉を聞いた一部の参加者は、同社のサーバからPA-RISCやAlpha、MIPSなどのチップ類がやがて消滅するという意味だと理解した。
「アダプティブエンタープライズはどこにいったのか」というのは、British GasやAA、Onetelの親会社であるCentricaで、OpenVMSシステムマネージャー兼Tru64アドミニストレーターを務めるReg Palmer。同氏は、学生の科学プロジェクト展示のようだったと多数の参加者がコメントした展示を指し示しながら、「どんなものか、見せて欲しい」と語った。
Palmerは、アダプティブエンタープライズがいったいどんなことを指しているのかを理解できなかったかも知れない。だが、HPが自社のプラットフォーム戦略に関して進めている多くの事柄については、同氏にもはっきりと伝わっているようだ。Alphaチップの打ち切りの話を初めて耳にしたときのことに言及し「非常に衝撃的だった」と語るPalmerだが、「しかし、コストを正当化する性能上の利点が将来的に無いのであれば、それは理にかなったことであり、われわれも今はずっと先まで見通せる」と述べている。
Palmerは、将来的にはHPのSuperdomeサーバ上でWindowsやLinux、OpenVMSを作動できるようになるという。「そうなった場合、プロセッサはItaniumになる」と彼は肩をすくめながら言った。「(これらのOSが作動する限りは)どれでも構わない。Tru64の機能をより多くHP-UXで使えるようになるので助かるだろう」(Palmer)
HPで業界標準サーバのマーケティング担当バイスプレジデントを務めるPaul Millerによると、今年の終わりまでに顧客はItaniumプロセッサ上でOpenVMSを動かせるようになるという。また同社はこの事実を公表していないが、顧客がItanium搭載システムをOpenVMS 8.1のプレリリース・バージョンと共に購入することも既に可能だ。
Palmerのような顧客は先の目処が立っているかもしれないが、しかし同日午前中にはどう見ても少し曖昧な部分が残っていた。「われわれはVMSとTru64を使って、たくさんの重要なシステムを動かしており、今後も数年間はそうしたシステムを使っていくつもりだ。だが、その後どうするかについてはまだわからない。このアダプティブエンタープライズとやらで欲しいものが手に入るというのなら、たぶんそれはよいものなのだろう」(Palmer)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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