米投資銀行のMorgan Stanleyは27日(米国時間)、IBMとの間でアウトソーシング契約を結んだことを明らかにした。この契約により、同社はバックエンドのサービスにIBMのユーティリティコンピューティングのフレームワークを利用することになる。
今回の契約は、期間5年で総額は5億7500万ドルに上る。これは、両社が1999年に結んだ情報技術サービス契約の延長にあたるが、昨年9月に両社が発表した別のグリッドコンピューティング契約がこの土台となっている。ユーティリティーコンピューティング(もしくはグリッドコンピューティング)は、顧客がネットワーク接続された複数のデバイスを必要に応じて利用できるようにし、計算処理にかかるコストを削減するというもの。これを推すベンダー各社は、このアプローチによって、企業がプログラムを一段と確実に運用できるようになり、またデータセンターの維持コストを削減できると主張している。
IBMは新たな契約のもとで、Morgan Stanleyの個人投資グループやDiscover Financial Services部門にインフラを提供する。IBMのグローバルサービス部門は、同社の他の顧客と共有するコンピューティングインフラを使って、Morgan Stanleyが個人投資家向けに提供するビジネスアプリケーションを管理することになる。Morgan Stanleyではこれまで、これらのアプリケーションをメインフレーム上で運用していた。
Morgan Stanleyは新しいインフラへ移行すると、バックエンドの計算処理に利用した分だけコストを負担すればよくなる。同社では、この移行によって数百万ドルの経費を節約できると考えている。同社はこの契約で、計算処理能力、記憶容量、ネットワーク帯域幅をなどと、必要に応じて自動的に入手できるようになる。両社はこの契約をまとめるにあたり、高度な価格設定システムを作り出したと話している。
Morgan Stanleyでは、自社データセンターの自動化をさらに進めるという目標を掲げており、この取り組みもその一部だと説明している。IBMは、アウトソーシング契約の内容に応じてMorgan Stanleyのスタッフの一部を引き受けるしているが、具体的な人数などに関する詳細は明らかにしていない。IBMではさらに、Morgan Stanleyの個人投資家グループに所属する約2万人の社員に対してヘルプデスクのサポートサービスも提供する。
IBMは、Morgan Stanleyがメインフレームで処理していた業務をIBMの共有インフラへと移行することは、同社が進める「オンデマンド」戦略の発展における一大イベントだと述べており、IBMの関係者によれば、日常業務の多くをIBMに任せることに前向きな大口顧客が増えていることを今回の契約が浮き彫りにしているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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