Intelは、シリコンとフォトニクス(光通信)を融合させる方法を開発した。これにより、コンピュータチップ同士の通信速度が向上する可能性がある。
Intelの科学者らは、1本の光線をシリコンを通過させることで2本に分離させた。そして、トランジスタに似たデバイスを使って、1つの光線電荷をかけ、「位相シフト」を発生させた。これは実質的に光波をビットに沿って動かすことになるが、その後2つの光線が再び合流した際には、この光は1GHzを超える速度で点滅した。この速度は、これまでシリコン上で発生されたものの50倍も高速だという。
光波を使って情報を伝える技術の1つであるフォトニクスは、より高速なコンピュータやデータ転送を求め続ける上での、次なるステップと見られている。だが、光学装置はふつう、ガリウムヒ化やリン化インジウムなど、製造が難しく高価な素材で作られている。これに比べて、シリコンは値段が安く、メーカーらはその取り扱いに関して熟知している。
シリコンで高速なフォトニック(光ファイバ)モジュレータ(変調器)を作れれば、PCやサーバ、その他の電子機器の接続に、低コストで広帯域幅の光ファイバが使えることになり、またゆくゆくはコンピュータ内部のチップ間でも同じことが実現できる。コンピュータチップ間でのフォトニック通信の開発は、オーストラリアでも取り組んでいる。今年初め、Australian Photonics Cooperative Research Centreは、チップ間通信向けの光ファイバケーブルを開発したと発表している。
「これは、光の速度でコンピュータ内部をデータが動き回る光学装置の開発へ向けた大きな一歩だ」と、Intelのシニアバイスプレジデント兼CTO、Patrick Gelsinger。「今後、新しい機器やアプリケーションの登場を促すという意味で、業界全体に影響を及びすブレイクスルーだといえるだろう」(Gelsinger)
「インターネットをさらに高速化し、より高性能なコンピュータの開発や、ウルトラHD(High-Definition)ディスプレイや画像認識システムのような広帯域を必要とするアプリケーションも実現させるだろう」(Gelsinger)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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