今から2年前、Webサービスの新興企業、AmberPointの幹部だったEd Horstは、影響力のある市場調査会社、Gartner Groupのレポートと自身の予測を携え、勤め先のCEOのオフィスに入っていった。
当時、ソフトウェアプログラム同士を結ぶWebサービス技術の市場はほとんど未開の状態だった。そんな中、Gartnerは次のような予測を立てていた。「IBM、Microsoft、Oracleといった業界大手は、ツールやサーバといった分野では強さを発揮するが、1つの分野だけ手薄になるだろう。その分野とは、Webサービス管理だ。」
Horstはその時、「このレポートから、1000のビジネスプランが生まれるだろう」と言ったことを覚えている。そして数週間以内に、Horstの予測は現実となった。多くの新興企業が、Webサービス標準に合致した、ネットワーク管理のためのソフトウェアを次々と発売したのだ。
Webサービスアプリケーションは、大手企業の間でますます人気が高まっているが、一方でWebサービス管理用の製品を開発する企業は乱立状態にあり、少ないパイをめぐり各社が凌ぎを削っている。また、InfravioやAmberPointのように、小規模で管理ツールに特化した企業も数多く存在するが、現在、業界大手がフルサービスの提供実現に向け努力しているため、いずれこれらの企業と競合する可能性がある。
その他の既存Webサービス企業としては、Confluent Software、Digital Evolution、Flamenco Networks、Actional、Blue Titan Softwareなどが挙げられる。これらの企業は、メッセージの送信やXML文書の監視など、特定のWebサービスに特化している。
Webサービス市場は非常に流動的であるため、経営力、資金力、顧客といったあらゆる可変要素を考慮した場合、どのWebサービス企業が最も長期的見通しが明るいかは断言できないとアナリストたちは口を揃える。また、新興のWebサービス企業の経営者たちは、来るべき淘汰の波の中で生き残れるのは2〜3社と推測している。既存の大手企業がWebサービス管理分野に強引に割り込むため、生き残るこれらの新興企業は既存企業よりもある程度先行している必要がある、とアナリストたちは指摘する。
「2004年は間違いなく新興のWebサービス企業にとって、運命の分かれ目の年になるだろう」と語るのは、Webサービス専門の調査会社ZapThinkのアナリスト、Jason Bloombergだ。「それらの(Webサービス管理)企業のうち、数社は生き残れるかもしれないが、その5年後には全く別の企業になっているだろう」(Bloomberg)
業界の大手企業も黙ってはいない。一般的なシステム管理ソフト市場で高いシェアを誇るComputer Associates Internationalは、Webサービス市場にも積極的に進出している。Hewlett-Packard(HP)も同様で、同社が進めている大企業向けのコンピューティング計画「Adaptive Enterprise」にWebサービスを組み込んだ。
大手企業のWebサービス市場への相次ぐ参入の背景には、IBMとMicrosoftという業界最大手2社の存在がある。ただし、両社とも、Webサービス管理製品の特定の計画の概略は描けていない。IBMの関係者によると、全体的なシステム管理計画の一環としてWebサービスの提供を検討している同社には、少なくとも今のところは、Webサービスに特化した管理製品を販売する予定はないという。一方、Microsoftは特定のツール開発を自ら手掛けるのでなく、AmberPointやActionalといったWebサービス管理ツール開発を専門とする小規模企業と提携する道を選んだ。
しかし、IBMとMicrosoftはどちらも、既存の自社製ツールにWebサービス管理機能を容易に追加できる。そうなれば、即座に市場力学に変化が生じ、新興企業はビジネス計画の変更か、他企業との提携を迫られることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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