米マイクロソフト、小売業界向けのRFIDプロジェクトを立ち上げ

 米Microsoftは12日(米国時間)、無線認識(RFID)などの次世代ワイヤレス技術を小売企業に提供することを目的とする、新プロジェクトを立ち上げたと発表した。

 この発表は、現在ニューヨークで開催中の全米小売業協会(National Retail Federation:NRF)の総会で行なわれた。「Smarter Retailing Initiative」というこの取り組みは、商品購入から在庫管理まで、小売業のほぼすべての側面におけるアプリケーション開発を狙ったものだ。Smarter Retailing Initiativeでは、同社は小売企業向けに、対顧客用のツールを提供し、運営管理を改善し、また新たなワイヤレス技術を統合できるようにするという。Microsoftによると、この計画のもとで開発されるソフトウェアは、同社のWebサービスフレームワーク「.Net」をベースとし、既存製品とのインターフェースも備えたものになるという。

 Microsoftはすでに、このプロジェクトに参加する複数のパートナー企業と契約を交わしたと述べている。このなかには、米Accentureや仏Cap Gemini Ernst & Youngなどのコンサルティング会社のほか、米Dellや米Hewlett-Packard(HP)、米IntelなどのIT企業も含まれている。Microsoftは米7-Elevenや米Circuit City、米RadioShackなどの小売チェーンもこのプログラムに参加させている。

 この新しい取り組みで最も興味をそそるのは、すでにRFIDベースの小売企業向け技術を複数開発しているAccentureがMicrosoftと提携している点だろう。RFIDチップには、それが取り付けられている製品の情報など、説明的な情報が含まれており、携帯端末や倉庫にあるセンサーといったさまざまな機器で読み取ることができる。小売企業はワイヤレス機器を通じた在庫追跡から消費者への特売情報の通知まで、さまざまな用途にRFIDを用いるようになるとみられている。

 Microsoftは、開発予定の小売向け技術の種類については具体的な例をほとんど示していない。しかし同社は、Windows XP Embeddedオペレーティングシステム(OS)を開発の主要基盤として用いることは明らかにしている。同社の小売パートナーのなかには、携帯電話やPDAなどのワイヤレス機器を用いて顧客に情報を配信するショッピングツールの作成に、すでにWindows XP Embeddedを利用している企業もある、と同社は述べている。

 このプログラムのもとで開発されるアプリケーションには、他にもPOS端末用ソフトウェアや、MicrosoftのSQL Serverベースの小売セクター向け分析ツールなどがある。

 同社の報告によれば、RadioShackではすでに Windows XPをベースにしたPOS端末8000台を全店で導入し、またWipro Technologiesという別のパートナー企業と組んで、携帯型の店舗管理用システムを構築したという。

 Microsoftはまた、独Metro GroupのFuture Store Initiativeに参加したことも発表した。この取り組みは小売業界での技術革新を促し、業界標準をつくり出すのが狙いで、同グループが米IBM、米Intel、独SAPなどと共に進めてきているものだ。

 業界アナリストは、小売業界およびRFID技術にこれまで以上に深く関わろうとするMicrosoftの取り組みを前向きに評価したものの、同社の姿勢にはいまだに曖昧なところがあると指摘している。米IDCのアナリスト、Christopher Booneは、MicrosoftがAccentureのようなRFIDの開発で長い経験を有する企業と提携した点や、Future Store Initiativeのような業界の取り組みに関与する点について、賢明な判断だと述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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