IBMの最高情報責任者(CIO)、Bob Greenbergは、同社のデスクトップコンピュータへのLinuxの採用をにらみ、同OSを評価するための社内プロジェクトを始動する方針を打ち出した。同社はサーバではすでに同OSを採用している。
Greenbergが11月に書いたメモによると、IBM会長のSam Palmisanoは同社内のIT部門および全社の従業員に、2005年までにデスクトップPCをLinux搭載機に変更するよう指示したという。しかし、広報担当のTrink Guarinoが8日(米国時間)に述べたところによると、実際の計画はそんなに大胆なものではないという。
「2005年までに全従業員のPCはおろか、その大半をLinux搭載機に切り替えるというような計画は、IBMにはない」とGuarinoは述べ、ただし移行計画はないが、同社が社内でプロジェクトを立ち上げ、デスクトップPCでのLinux利用に関して、真剣に評価作業を進めていることは認めた。デスクトップPCは、米Microsoftが最も優勢を誇る分野である。
IBMは長年、サーバへのオープンソースOSの利用を勧めてきているが、デスクトップ版については、2003年末になってようやく興味を示し始めたところだ。
しかしIBMの一連の行動は、一時的にせよ、大きな影響力を発揮する可能性がある。IBMが2000年にサーバ用OSとしてLinuxを採用したことにより、元々は学生のプログラミングプロジェクトとして開発されたという地味な由来を持ち、当時は比較的新しかった同OSの信頼性が確立された。
IBMは、2000年にサーバ版Linuxを採用した際にも、正式採用するかなり以前から同OSの評価を開始しており、Guarinoによると、今回のデスクトップ版の評価プロジェクトも当時と同様の取り組みだという。「社内のITチームに、IBM内部で新しいプラットフォームや技術を厳密にテストさせるのは、IBMではよくあることだ」(Guarino)
しかしIBMが、デスクトップ版Linuxの採用を真剣に検討しているのは明らかだ。GreenbergのオフィスはOpen Desktopプロジェクトの指揮をとっている。同氏のメモによると、このプロジェクトには、IBMの研究部門やソフトウェアグループが参加し、ワープロや表計算ソフト、そしてウェブアクセス・閲覧用ツールなどを、全てオープンスタンダードベースのものに切り替えるべく取り組みを進めていくという。
デスクトップ版Linux は長年期待されながら、技術的に困難な点や、入手可能なソフト数が少ないこと、さらに互換性の問題が障害となり、まだ広く普及するまでには至っていない。しかし、ドイツのミュンヘンや米テキサス州のオースティンといった都市の市役所が同OSに関心を示しており、また米Sun Microsystemsなどの企業が大々的な同OSの製品化計画を進めているなど、Linux市場はより急速に動いている。
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