日本IBMは9日、アプリケーション開発ツールWebSphere Studio Application Developerの最新版であるバージョン5.1.1を同日より提供開始すると発表した。5.1.1は、ウェブアプリケーション用インターフェイスを構築するためのフレームワークである「JavaServer Faces(JSF)」に対応しているのが特徴。これにより、「ウェブアプリケーションでリッチなユーザーインターフェイスやウェブフォームなどを容易に構築することができ、Java開発の複雑性を軽減することができる」(日本IBMソフトウェア事業WebSphere事業部長、山下晶夫氏)という。
JSFは、J2EEの標準技術として開発された、ウェブアプリケーションにおけるインターフェイス構築用のフレームワークで、現在Javaの標準化コミュニティであるJava Community Process(JCP)にて仕様策定が進んでいる。JSFは現在ドラフトが一般公開されており、2004年前半に最終仕様が発表される予定だ。
山下氏によると、IBMではこれまで標準が決まってから製品化するケースが多かったが、最近では「標準から軸足をはずさないようにしつつ、先取りで製品をリリースしようという動きがある」という。今回の新バージョンについて同氏は、「Visual BasicをJavaの世界に持ち込んだようなもので、やっとVisual Basicを越えるものができた」と語る。
日本IBMソフトウェア事業WebSphere事業部長、山下晶夫氏 | |
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WebSphere Studio V5.1.1では、Javaプログラムからテキストフィールドやボタン、選択用のボックスといった入出力部品を簡単に呼び出すことが可能だ。また、基幹システムで利用しているデータ各種を、JSFの画面にドラッグ&ドロップするだけで簡単に貼り付けることができるというWebSphere Data Object (WDO)機能も搭載した。
JSFをサポートする製品としては、Sun Microsystemsが今年6月のJavaONEにて、同社の開発ツールProject Raveで対応すると発表、先週同社はProject RaveをJava Studio Creatorとして来年前半にベータ版を、来年半ばには最終版をリリースするとしていた。IBMが今回一足先に製品化を実現したことで、業界でもいち早くJSFサポートを実現した開発ツールが市場に出回ることになる。
山下氏は、Sunが今年のJavaONEで掲げたテーマ「Java is Everywhere」に対抗するためか、「(誰もが開発できる)“みんなのJava”となるために手助けをするのがIBMの役目」と語る。これを実現するのが今回の新バージョンだと同氏は述べ、今後はサーバサイドのフレームワークのみならず、クライアント側でコントロールできるような仕組みも追加していくという。現在同社の大和ソフトウェア開発研究所では、JSFの部品に対する入力支援機能の追加や、リッチクライアントの構築環境を提供すべく、新機能を開発中だという。
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