米Wal-Martは、無線信号を使って商品を管理する新しい在庫追跡技術に、今後数年間で30億ドルを投資する計画だという。同プロジェクトに詳しい情報筋が明らかにした。
同システムは、無線ID(RFID)として知られる、新しいタイプのコンピュータネットワーク技術をベースにしており、ひげ剃りや靴といった日用品に特別なマイクロチップを埋め込んで、その在処を追跡するよう設計されている。Wal-Martは、注目を集めるこのプロジェクトに、納入業者上位100社の参加を取り付けている。なお、同プロジェクトは小売業界のなかでも最初にして最大規模のものの1つにあたる。
Wal-Mart関係者はこの投資計画について、コメントを差し控えている。
匿名希望の情報筋によると、Wal-Martはプロジェクト参加企業との話し合いの中で、予算が数十億ドルに上ることを非公式に明かしたという。
それでも、生まれたばかりのニッチ市場であるRFIDに特化した多くのITベンダーにとって、この膨大な投資額は良い兆しである。この分野への参入企業の中には、RFIDチップや読取装置を製造するPhilips Semiconductorsや、Alien TechnologyおよびMatricsといった新興企業も含まれている。ある情報筋によると、Wal-MartはRFID予算の3分の2を読取装置の購入とその設置に遣い、100カ所以上の配送センターや数千カ所の店舗へ導入するという。
残りの予算は、新システムによって生成されるデータの収集、処理、および保管を行うためのハードウェアやソフトウェアに投入される。米Sun Microsystems、独SAP、米IBM、そして米Intelなど、複数の大手ハイテク企業がこのようなインフラの開発を進めており、顧客獲得にしのぎを削っている。
Wal-Martと同社の上位120社程度の納入業者は11月4日(米国時間)、アーカンソー州ベントンビルにある同社本社の近くで会合を開き、米国で2005年から稼働予定の同技術の立ち上げについて話し合っている。
このプロジェクトの成功は、Wal-Martの納入業者の協力にかかっている。同社はこれらの業者に対し、数百万枚のRFIDタグを購入し、Wal-Martの倉庫に納める商品すべてに貼付するよう求めてた。大手の納入業者の場合、必要経費は当初だけでも最大2300万ドルに達すると、アナリストは見積もっている。
Wal-Martでは、主に物流管理ミスの低減や在庫処理関連の人件費削減などにより、同技術から大きなメリットが得られると期待している。あるアナリストは、このプロジェクトが完了すれば、Wal-Martは年間84億ドル近い経費を節減できると見ている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」