L・トーバルスとA・コックス、欧州ソフトウェア特許法案に反対

 オープンソフトウェア・コミュニティでもっとも大きな影響力を持つ2人が、EUで提案中の指令について、それが成立すれば、企業間の競争が減り、また同地域内の仕事の減少につながるとの考えを表明した。

 Linux界で最も著名なLinus TorvaldsとAlan Coxの両氏は、欧州議会に対し、今週投票が予定されているソフトウェア特許に関する指令を否認するよう迫った。両氏は、この法案が通過すれば、欧州のビジネスが混沌状態に陥り、また失業者を生むことになると主張している。

 今回のCoxとTorvaldsの主張は、提案中のコンピュータを使った発明の特許取得に関する指令(Directive on the Patentability of Computer-Implemented Inventions)に対する一連の反対運動において、最新の動きとなる。同指令は22日に始まる本会議の一部として欧州議会で扱われることになっているが、24日に実施予定の採決は、同指令が巻き起こした論議が原因で、当初の今月初めから実施が延期されていた。

 Linux OSは、カーネルや開発者が独自につくった数多くのコンポーネントを含んでいるが、ここ数年でソフトウェア業界において重要な影響力を持つようになった。しかし、Linuxのオープンソース開発モデルは、ソフトウェア特許により脅かされる可能性がある。

 加盟国間で異なる特許法をもつことから、同指令の草案は、欧州の特許法に調和をもたらすものとして提出されている。英労働党出身の欧州議会議員(MEP)であるArlene McCarthyは、コンピュータに関連する特許に一貫性をもたらす法的フレームワークを作成するこの指令について、中小企業を助けるものだと主張している。

 だが、CoxやTorvaldsなどの批判者は、指令の内容は、事実上あらゆるソフトウェアや電子的ビジネスプロセスに対して特許を認める可能性をもたらすもので、米国では実際にそのような状況になっていると主張している。

 Torvaldsは声明文の中で、「米国の経験が示していることは、ソフトウェア特許法は、おそらくは特許専門の弁護士にしか利益をもたらさないということだ。欧州議会の議員がこの法律のネガティブな側面を認め、歴史ある(欧州)大陸に米国と同じ混乱状態を押しつけないことを望む」と記している。

 Alan CoxとTorvaldsは、欧州議会議長のPat Coxに宛てた公開状で、とりわけLinuxはソフトウェア特許法により危険にさらされるとしている。Linuxは誰もコントロールしていない、つまり大企業が直接保護しているものではないからだ。

 その他の懸念としては、特許の使用が中小企業による競争を制限し、相互運用性の障害となり、また情報発信を阻害することなどが挙げられている。またCoxは、企業が自社の開発作業を特許責任のリスクのない国にアウトソースすることから、数千人分以上のソフトウェア開発の仕事がなくなる可能性があると指摘している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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