日本IBMは8月20日、WebSphere製品の最新版となるWebSphere Application Server V5.0.2(WAS 5.0.2)と、WebSphere Studio V5.1を発表した。両製品ともWebサービス機能を大幅に拡張しており、同社ソフトウェア事業WebSphere事業部長の山下晶夫氏は「バージョンの番号からするとマイナーリリースのようだが、内容はかなりアップデートされたものだ」としている。
WAS 5.0.2は、Webサービスの標準化に関する仕様であるWS-I Base Profile 1.0に業界ではじめて準拠したもので、これにより他社製品との相互接続性が向上することになる。また、Webサービスのモデル定義をJ2EEに組み込むための規約であるJSR 109/JSR109もサポートし、J2EEコンテナ間での可搬性が確保される。さらにセキュリティ仕様のWS-Securityを実装しており、SOAPメッセージにユーザーのログイン情報を載せて運ぶなど、信頼性の高いWebサービスが実現できる。新SOAPエンジンの採用で、Webサービスのパフォーマンスが大幅に向上することになる。
同製品はグリッドコンピューティングやオートノミックコンピューティングに向けた機能も強化している。
日本IBMソフトウェア事業WebSphere事業部長、山下晶夫氏
いっぽうのWebSphere Studio V5.1も、Webサービス対応を強化するため、WS-I Base Profile 1.0準拠の開発環境を提供し、マイクロソフトのVisualStudio.NETなど他社ツールとの親和性が向上する。また、UMLクラス図作成機能を備えており、クラス図からJavaコードを生成したりJavaコードからクラス図を生成することが可能だ。この機能は合併が完了したばかりのラショナルソフトウェアの製品からサブセット機能を一部取り込んだもので、合併の効果を生かした製品となる。
製品発表と同時にIBMでは、旧バージョンのWebSphere Application Server V3.0およびV3.5や、BEAのWebLogic V5.1/V6.1から、最新版WebSphereへのマイグレーションを支援するサービスも開始する。WebSphere Application Serverは、IDC Japanの今年7月の発表で2002年の国内シェアが29.6%と、金額ベースのシェアが2年連続で国内1位となっているが、13.4%で2位につけているBEAのシェアも奪いたい考えのようだ。山下氏は、目標として定めているわけではないとしながらも、「3年ほどですべてのユーザーがIBMに移行してほしいと考えている」と語った。WAS 5.0.2は20日から、WebSphere StudioV5.1は8月29日から出荷される。
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