上場以来初めて株主への配当を行うと発表したばかりの米Microsoftだが、投資家らの不安を拭い去ることはできないようだ。2003年通期は、「減収」との予測が飛び交っている。米国時間1月17日、つまり2003会計年度第2四半期の決算発表が行なわれた翌日、Microsoft株は朝の取引で2.74ドル下落して52.60ドルの値を付けた。
同社の2003会計年度第2四半期の売上高は85億4000万ドル(前年同期比10%増)、純利益は25億5000万ドルだった。また同社は1株を2株にする株式分割を発表し、2月14日頃に分割前の1株につき16セントを配当することも明らかにした。このように投資家にとっては好材料が揃っているにも関わらず、株式は約5%下落した。
株価下落の原因の1つは、Microsoftが2003会計年度通期の業績見通しを引き下げたこと。2002年10月に発表した予測では、売上高を332億〜336億ドルの範囲、営業利益を141億〜144億ドルの範囲(1株当り利益は1.89〜1.95ドル)としていた。しかし1月16日に同社は、売上高を319億〜321億ドルの範囲、営業利益を141億〜143億ドルの範囲(1株当り利益は1.90ドル〜1.93ドル)と、従来の予測を下方修正した。
Microsoft最高財務責任者(CFO)のJohn Connorsは、「近い将来にIT支出が飛躍的に伸びるとは考えていない」と述べている。もっとも同社は以前から、IT支出やパソコン市場について慎重な見方を示してきた。同氏は、「2003会計年度中にパソコン市場の成長速度が増すことはないだろう」と述べている。
なお、同社が発表した2003会計年度第3四半期の見通しは、売上高が77億〜78億ドルの範囲、営業利益が34億〜35億ドルの範囲(1株当り利益は0.47〜0.48ドル)の見込みである。ちなみに2002会計年度第3四半期は、売上高が72億5000万ドル、純利益が27億4000万ドル(1株当り利益は0.49ドル)だった。
Microsoftの控えめな予測には相応の理由がある。ドイツのDeutsche BankアナリストBrian Skibaは、「2003年のIT支出は4〜5%成長する見通しだが、前半の停滞が深刻なため、2〜3%成長にとどまる可能性が高い」と述べている。2003年前半は、Microsoftの2003会計年度後半にあたる。また米Merrill Lynchのアナリスト、Christopher Shilakesによると、北米在住の技術関連企業幹部を対象に実施した調査から、「ITマネージャーのほとんどが、IT支出の回復を2003年後半とみていることが明らかになった」という。
しかし、Microsoftにとって明るい材料もある。同社は2003年に、Windows 2003 Server、Exchange Server 2003、Office 11のほか、Jupiter(開発コード名)と呼ばれるサーバー製品のリリースを予定している。また、ライセンス収入の増加も見込んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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