IBMは、処理速度の向上や電力効率アップを約束する新しい生産プロセスを利用したPowerPCプロセッサの製造を開始した。
同社は米国時間13日に、90nmプロセスでのPowerPCプロセッサの大量生産を開始したと発表する予定。90nmプロセスとはチップ上の回路の平均的なサイズを示すもの(nmは10億分の1メートル)。現在IBMのブレードサーバやApple ComputerのXserve G5サーバに搭載されているPowerPC 970FXチップが、このプロセスで最初に生産されるプロセッサとなる。
IBMは、来週サンフランシスコで開催されるISSCC(International Solid State Circuits Conference)で、90nmプロセスで製造した同チップの2.5GHz版を発表する予定だ。今日市場に出回っているPowerPCチップは130nmで生産されており、クロック数は最高で2GHzとなっている。
新しいPowerPCを製造するために、IBMはSOI(Silicon On Insulator)とStrained Siliconと呼ばれる層を組み合わせている。これらの層を組み合わせることで、電力効率かパフォーマンスの向上が実現できる。つまり、現行モデルと同じ速度で動くが消費電力は少なくて済むプロセッサか、もしくは現行モデルと同じ電力を消費する代わりにより高速なスピードで動くプロセッサの、どちらかを選ばなくてはならない。
Intelの最高技術責任者(CTO)Pat Gelsingerや他の業界関係者の話によると、電力消費量の低減はチップ設計者が直面している最大の課題だという。この課題を解決するために、メーカー各社はそれぞれ違ったテクニックを採用している。この課題には2つの側面があるが、まずはじめに、設計者はますますサイズの小さくなるシリコン片にすべての電気回路を盛り込む方法を見つけなければならない。次に、この回路から発生する熱で動作不良が起こらないようにしなくてはならない。
IBMは長い間、スポンジのように機能するSOI技術を支持してきた主要な企業だ。チップ内のトランジスタ群の下に敷かれた絶縁層は、電気の漏れを防ぐことで電力消費量を低減する。
これに対して、Strained Siliconでは、シリコン内にある層や隆起を取り除き、電子がより高速に動けるようにしている。ウエア内に巨大なゲルマニウム原子を埋め込むこのアイデアは、まず1980年代末から1990年代初期にかけて登場したものだが、しかし当時はほとんど使われなかった。
「1985年、1986年、あるいは1987年にこの提案をしていたら、みんなに大笑いされていただろう」と、IBMの技術グループでCTOを務めるBernard Meyersonは昨年行われたインタビューの中で答えていた。
Intelは今月はじめに発売したPrescottチップで、同社としては初めてStrained Silicon技術を採用した。しかし、同社ではSOI技術のほうはまだ採用していない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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