製造施設を建設する場合、企業は現地の技術力、租税優遇措置など、その国から得られる支援策のほか、現地における知的財産権に関する法令などに注目する。中国は、最初の2点に関してはここ数年でかなり競争力をつけてきたが、知的財産権については相変わらず問題が絶えない。
それでも、海賊行為に対する中国政府の厳しい取り締まりと、中国市場で大きなシェアを獲得しようとする半導体メーカーの思惑があいまって、メーカー各社の中国進出は進んでいる。世界最大の半導体製造請負企業であるTSMCは、製品の一部を中国で生産している。TSMCも知的所有権をめぐって、中国の半導体製造大手の1つである中芯国際集成電路製造(Semiconductor Manufacturing International Corporation:SMIC)と法廷で争っていたが、最終的には和解した。
Intelの大連工場では直径300mmのウエハを製造する。すなわち、同工場で生産する半導体は、90ナノメートル、あるいはもっと進んだ65ナノメートルの製造プロセスを利用したものになるということだ(90ナノメートルや65ナノメートルというのは、プロセッサ上の回路線幅の平均値を表す。1ナノメートルは10億分の1メートルで、人間の毛髪の太さは約6万ナノメートル)。
一般的に、進んだ製造プロセスを利用するほど高速でエネルギー効率のよい半導体が製造できる。
Mulloy氏によると、Intelは既に2009年から中国で90ナノメートル半導体を製造するための許可を米国政府から得ているが、大連工場では最初から65ナノメートル半導体を製造する可能性が高いという。Intelが得ている許可では、欧米で新世代の製造設備が開発されれば、中国でもより進んだ生産設備を利用できることになる。
Intelは、2009年後半には32ナノメートルプロセスによる半導体生産を開始する予定だ。その結果、大連工場が2010年に稼動し始める頃には、65ナノメートルプロセスは既にN-2世代に属していることになる。
半導体設備の輸出を管理する規制は、中国などの国々が軍事目的で先進技術を取り入れることを防止するために制定された、ワッセナー協約に基づくものだ。対象国に持ち出すのが、その企業の最新かつ最高の技術でない限り輸出許可は下りるが、承認を得るためには貿易に関する煩雑な手続きをなんとかやり遂げる必要がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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