米MicrosoftのMSN部門では、独自の検索アルゴリズムを使ったサーチエンジンを開発し、公開の準備を進めている。同部門では、この公開に先立ち、ウェブサイトをまわってインデックスをつくるソフトウェアの運用をひそかに開始したが、この動きにMSNとYahooの子会社Inktomiとの関係の行方を取り沙汰する声が上がっている。
MSNBotというこのソフトウェアは、ウェブ上の各サイトを巡回し、ハイパーリンクやドキュメントを集めてくるもの。MSNでは、Googleに挑戦すべく、独自のアルゴリズムを使った検索技術で、MSNサーチを活性化させようとしているが、このロボットもそうした試みの1つである。
MSNでは現在、Inktomiの検索アルゴリズムおよび有料検索結果表示サービスを使っており、さらにOverture Servicesの商用検索サービスも併用している。MSNの広報担当者の話では、同社はOvertureとは今後も提携関係を続ける計画というが、現在ライバルのYahooの子会社になったInktomiとの関係については明言を避けた。
「現時点では、内部での技術開発のほうに興味がある」と、MSNのグループプロダクトマネジャーであるLisa Gurry。「Inktomiとの関係をいますぐどうこうしようという話はなく、またMSNでは独自のアルゴリズムを使った検索技術の開発に投入するリソースを増やしていく」だろうとGurryは付け加えた。
これに対して、Yahooの広報担当者は具体的な言及は行わなかったが、これまで通りMSNを顧客として扱うと述べた。
「MSNのような顧客には、我が社だけが他社よりも優れたソリューションを提供できると思っている」とYahooの広報担当であるDiana Leeはコメントした。
独自の検索サービス展開を推し進めようとするMSNの動きは、Inktomiとの関係を支持するという同社の約束と、真っ向から対立するものである。今年2月に、MicrosoftはInktomiとのライセンス契約を2005年12月まで延長した。これは米SECへ提出された書類の内容から判明したことだったが、同書類にはさらに、MSNが同四半期にInktomiへ560万ドルを支払ったという記録もある。
MSNのGuryyは、この契約の延長に関するコメントを差し控えた。
Googleのような、アルゴリズムを利用した人気の高い検索サービスや、Overtureのような商用の検索サービスは、ウェブビジネス各社の盛衰を左右する、ますます重要な要因となってきている。Googleは、高速で、包括的な検索エンジンとして人気が高いが、その影響を受けて、かつて検索分野の王座にあったYahooでは、Googleのテクノロジーを自社でも取り入れていたにも係わらず、戦略をシフトさせた。
商用検索エンジンのOvertureも、MSNやYahooにサービスを提供し、その収益を押し上げ、利益率増大に貢献している。Overtureは検索結果の表示を広告主にオークションで販売、そしてクリック保証型の広告から得た収益をパートナーのポータルサイトを分け合っている。Yahooでは、前四半期の収益の19%がOvertureの提供するサービスから得られたものであり、MSNでもOvertureとのパートナーシップを大きく打ち出している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス