もちろんGoogleは、Chromeのネット接続の向こう側にはサーバを有している。これによりChromeとサーバの協調が可能になる。例えば、Googleが開発中の「SPDY」と呼ばれるテクノロジは、ウェブページの要求と送信に使われる基本的なプロトコルの高速化を目的としている。これにはブラウザとサーバの協調が必要となり、Googleはその両方を所有している。GoogleはSPDYの標準化を目指しているが、それが実現するまでの間、ChromeはGoogleの各種サービスへの高速アクセスを提供できる。
ローンチされた当初、Chromeには必要最小限の機能しかなく、ほかのブラウザが備えていた基本機能や高度な機能を欠いていた。例えば、ブックマーク管理に関する機能が全くなかった。Googleはその後、さまざまな機能を追加してきたが、印刷プレビューなど、まだ搭載されていない比較的基本的な機能もいくつかある。それと同時に、Googleはライバルのブラウザにまだ備わっていない便利な基本機能もいくつか追加してきた。
その1つがTABキーを使った検索機能だ。この機能を利用することで、キーボード志向の強いユーザーはAmazonやGoogle、Yahoo、Bing、Wikipedia、CNETといったサイト内での検索を迅速に実行できる。利用するときは、検索したいサイトのアドレスを入力して、TABキーを押し、その後で検索語を入力する。また、Googleの多言語サービスを利用する自動翻訳という機能もある。
Googleはいくつかの課題を抱えている。その中でも大きな課題は、懐疑論者に対し、Googleはネット上でのサービスを拡大し続けているが、個人データを安心して預けられる場所であるということを納得させることだ。「Omnibox」と呼ばれるChromeのアドレスボックスはデータが入力されると同時に、それをGoogleのサーバへ送信し、そのサーバは直接Omniboxから検索結果を提案する。これは便利ではあるが、一部の人々の怒りを買ってもいる。
ただしこれらのユーザーインターフェース機能は、Chromeのもっと大きな野望にとっては副次的なものだ。Googleは基本的にウェブサービスを提供する企業であり、Chromeはそうしたサービスの機能を高める手段である。
ウェブ上のアクティビティ(検索と検索広告、「Gmail」とGmail広告、「Google Docs」と「Google Apps」サブスクリプション、「Google Maps」とローカル広告など)が増えれば増えるほど、Googleはより大きな利益を上げられるようになる。たとえ広範な人気を獲得できなかったとしても、ChromeはMicrosoftやMozilla、Appleなどのブラウザメーカーが現状に満足することの無いよう競争上のてことしての役割を果たすだろう。
ブラウザの機能向上がGoogleの商業的な利益と合致していることは、消費者にとって非常に都合の良いことだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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