「Google Chrome」の最初の公開版が登場してから2年が経過したが、同ブラウザには今もいくつかの点で斬新さが残っている。
Googleは米国時間9月2日、Chromeの6つ目の安定版をリリースした(ただし、「Mac OS X」とLinuxのユーザーにとっては2つ目)。
社外の人はこの安定版を「Google Chrome 6」と呼ぶだろうが、Googleの見方は異なる。
Googleにとって、バージョン番号は改善への果てしなき道に置かれたマイルストーンであり、通過点でしかない。Chromeはデフォルトでは、ユーザーの目に見えないところで自動的にアップデートされる(新バージョンをダウンロードしてブラウザの再起動後にインストール)。Googleはこの手法について、ウェブアプリケーションが常時アップデートされるのに似ていると考えている。ウェブアプリケーションのアップデートでは通常、ユーザーは関与せず、アップデートについて知らされないことも多い。
こうしたアップデート哲学はChromeを際立たせている相違点の1つで、それはGoogleがChromeのローンチの直前に、同ブラウザを描いたコミックを早まって公開し、自らの発表をうっかりスクープして以来続いている。
Googleは多くの支持を獲得してきた。Chromeの人気は着実に高まっており、Net Applicationsの最新の統計調査結果によると、世界ブラウザ市場の7.5%のシェアを占めるまでになっているという。
Chromeには数字のないバージョン以外にも、一般的な慣習から逸脱した点がある。それはGoogleが、ブラウザは自らが提供するコンテンツやアプリケーションを囲む最小限のフレームであるべきだと考えていることだ。Chromeの必要最小限のメニューボタン(新バージョンでは2つから1つに減っている)と画面上部に配置されたタブ、さらにステータスバーや検索ボックス用のスペースがないことは、そうした哲学を反映している。世界シェアトップ2のブラウザの最新版であるMicrosoftの「Internet Explorer 9(IE9)」とMozilla Foundationの「Firefox 4」に取り組んでいるプログラマーも、同様の目標を設定している。
Chromeが一般的な慣習から逸脱した点としては、ウェブベースのJavaScriptプログラムの処理やページ読み込みなどのパフォーマンスを重視していることも挙げられる。パフォーマンスはほかのブラウザにとっても重要だったが、Chromeの初回起動が極めて高速でJavaScriptの処理速度が素晴らしいために、その概念はあらゆるブラウザの最優先事項になり、ウェブ開発者の間でも自らが取り組めるものへの期待が高まった。
Chromeは拡張に対する新たなアプローチについても道を開いた。アドオンを記述する開発者は、JavaScriptやHTML、レイアウト定義のCSSなどのウェブテクノロジを組み合わせて使用する。これは、Firefoxの現在開発中の「Jetpack」フレームワークと同じで、Appleの「Safari 5」にも先ごろ導入された。このテクノロジはプログラミングがより容易で、ユーザーがインストールやアップデートを実行してもあまり混乱が生じないように設計されている。
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