解説:日立がうたう「次世代都市実現への貢献」を裏付ける100年の重み

 日立製作所(日立)は今年、創業100周年を迎えている。7月22日、23日の2日間、東京有楽町の東京国際フォーラムで開催した「日立uVALUEコンベンション2010」では、創業100周年を記念した特別展示コーナーが設けられ、創業製品である「5馬力モーター(誘導電動機)」など、同社の歴史を支えた数々の製品が展示されたほか、中西宏明社長の基調講演をはじめとする講演会やセミナー、事前登録が必要な展示会場においても、創業100周年を意識したコメントや展示が目白押しとなり、日立が日本の社会発展に大きく寄与してきたことを示す内容となった。

 日立の創業は、1910年に作られた5馬力モーターだとされている。日立鉱山 工作課の修理工場(茨城県・大雄院)において、修理の経験をもとに生産された3台のモーターがはじまりだ。その後、創業者である小平浪平氏が、大雄院を下った地に工場を建設。電機機械の製作を開始して、そこから本格的な日立製作所としての事業がはじまった。

 読者の皆さんは、「日立」と聞いてどんな印象を持つだろう。一般消費者の立場からすれば、冷蔵庫や洗濯機、薄型テレビといった製品を思い浮かべるかもしれない。一方で、重電メーカーというカテゴリで捉えられるように、原子力発電や鉄道、モーターといった事業をイメージする人も少なくないだろう。CNET Japanの読者であれば、メインフレーマーとしての日立や、高い評価を得ている運用管理ソフト「JP1」、そして、最近では「Harmonious Cloud」といったクラウド領域におけるトータルソリューションベンダーとしての印象があるかもしれない。

  • 100周年のロゴマークは、これまでの1世紀を次の世代が受け止め、さらに先の世代へ受け継ぐことをイメージ。「100」の2つの「0」を「Century」の「C」に見立てて向かい合わせている

  • 日立の創業の原点とも言える、1910年に作られた「5馬力モーター」

  • メインフレーマーとしての日立を象徴する「HITAC 8000シリーズ」の上位機種、1970年に発表された「HITAC 8700」も100周年記念の特別展示コーナーを飾った

 実際、日立の事業領域は幅広い。

 2009年度連結決算から、同社は米国会計基準に合わせてセグメント区分を変更しているが、その区分を羅列しただけでも、事業範囲が多岐に渡っていることがわかる。

 AV機器や白物家電などを含む「デジタルメディア・民生機器」のほか、コンピュータやネットワークが含まれる「情報・通信システム」、火力/水力/風力/原子力などの発電所システムを担当する「電力システム」、エレベータやエスカレータ、鉄道車両などが含まれる「社会・産業システム」、半導体・液晶関連製造装置や医療機器、電動工具などの「電子装置・システム」、油圧ショベルやホイールローダーなどの「建設機械」、電線やケーブル、半導体材料などの「高機能材料」、エンジンマネジメントシステムや走行制御システムなどの「オートモーティブシステム」、ハードディスクドライブや液晶ディスプレイなどの「コンポーネント・デバイス」、リース、ローンを担う「金融サービス」。これに、システム物流や不動産などの「その他部門」が加わる。連結子会社数は、国内で最大規模となり、グループ従業員数は実に36万人にも達する。

 そして、創業から100年の歴史のなかでは、社会インフラや経済成長に大きく寄与する製品や技術を数多く生み出してきた。

 日立が開発したモーターは、水力発電施設をはじめ、様々な社会インフラ分野のほか、コンシューマー向け製品にも活用されている。2003年に完成したエジプトのバラクポンプ場では、ナイル川の水を砂漠に供給するという壮大なプロジェクトに日立の幅広い技術が活用されている。

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