Harding氏が一番に挙げているのはビデオフォーマットの互換性の問題だが、ほかにも次のような問題を指摘している。
- YouTubeは、ブラウザが動画のページだけでなく、動画の中の特定の時間を読み込めるよう、高度な制御を必要としている。また、バッファリング(不快な再生中断を回避するために、コンピュータに事前に動画データを送信すること)の制御、そしてライブビデオ機能と動画品質の自動調整機能も求めている。HTML5はいずれの機能も備えていない。ただし、Googleはそれらを組み込もうという取り組みを支援している。
- Harding氏によれば、Flashには「セキュアな」ビデオストリームの表示に必要なデジタル著作権管理機能を備えているという。具体的には、GoogleはYouTube動画のレンタルプログラムにAdobeのRTMPEプロトコルを使用している。
- キャプションや広告などの要素を維持するというGoogleのニーズに応えつつ、YouTube動画をYouTube以外のサイトに埋め込むことは、HTML5では今のところ不可能だ。さらにHarding氏によれば「Flashは、ほとんどのウェブサイトでほかのサイトからのコンテンツ埋め込みが可能な、唯一のメカニズム」だという。
- HTML5は動画のフルスクリーン表示に未対応だ。対応作業は進行中だが、Flashのように、再生コントロールバーをうまく表示できるレベルではない。
- 自分のコンピュータで動画を録画する人向けにウェブカメラやマイクをサポートするには、Flashが必要だ。この点についても、HTMLでのウェブカメラ対応を進めているが、現時点では完成しておらず、ブラウザでもほとんどサポートされていない。
Googleには自社の方針がある。しかし、同社に実利的な傾向が強いことは、YouTubeをみればはっきりしている。ここで、じっくりと考えてみるべき興味深い疑問が1つある。Appleが「iTunes」を音声と動画のストリーミングのためのウェブベースサービスに変えると決断したら、GoogleもFlashの必要性についても同じ結論に至るだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。