64ビットに移行するメリットは何だろうか。それは主に、1台のコンピュータまたは1つのコンピューティングプロセスで4Gバイトを超えるメモリ容量を利用できること、そして場合によってはパフォーマンスが向上することだ。64ビットマシンは、動画編集などのメモリ負荷の高い作業には必須が、最新のOSを搭載したメインストリーム寄りのコンピュータでも有用だ。
ところが64ビットのブラウザの必要性はそれほどはっきりしていない。人々がこれまでに増してブラウザを多用するようになっていること、そしてコンピューティングプロセスを別々のメモリコンパートメントに分割するブラウザアーキテクチャが登場したことをもってしても、4Gバイトのメモリは十分に役割を果たしており、32ビットのブラウザでも64ビットのOSで問題なく動作する。Nguyen氏は「64ビットブラウザを使ったからといって、その他の点では全く変わらない32ビットブラウザに比べて、必ずしもウェブが良くなったり速くなったりするわけではない」と言う。
しかし64ビットブラウザに移行する理由が1つある。Appleが、同社のブラウザ「Safari」を2009年に「Safari 4」で64ビットに移行してから、ウェブベースのJavaScriptプログラムを実行する際のパフォーマンスが50%向上したと述べているからだ。これはブラウザのパフォーマンスの一面にすぎないが、重要なことだ。
全体として、Adobeの立場からいえば、人々がなぜ64ビットブラウザに移行するのかは重要ではない。同社にとって重要なのは、人々が移行するかどうかと、人々が移行する可能性が高まっていることだけだ。1つの重要なマイルストーンである64ビット版「Firefox」は、2010年中に登場するとみられており、Microsoftの「Internet Explorer(IE)」はすでに64ビット版が提供されている。Googleでは64ビット版「Google Chrome」の開発作業を開始しており、同ブラウザにはFlashが組み込まれている。
Adobeは何が求められているかを心得ている。「64ビット版OSを使う人が増えるにつれて、64ビットブラウザに移行する人も増えるだろう。そのような人々が可能な限り最高のウェブ体験を得られるようにすることが重要だ。われわれはデスクトップ向けのネイティブ64ビット版Flash Playerをリリースすべく精力的に取り組んでいる。今後のFlash Playerのメジャーリリースで、64ビット版のWindows、Macintosh、Linuxプラットフォームにネイティブサポートを提供する予定だ」(Nguyen氏)
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