マサチューセッツ州ケンブリッジ発--Microsoftの最高研究戦略責任者(CRSO)であるCraig Mundie氏は米国時間9月25日、Microsoftやコンピューティングの世界の数十年後についての長期的な展望を語った。当地で開催されたマサチューセッツ工科大学(MIT)Emerging Technology Conferenceで講演したMundie氏は、クライアントとクラウドサービスを組み合わせ、バーチャルプレゼンスで構成される3D仮想世界について述べた。
同氏はこの構想を次世代の「spatial computing」と呼び、その数々の特性として、メニーコアプロセッサ、並列プログラミング、シームレスな連結と生産性の高さ、コンテキスト認識とモデルベース、パーソナライズされ、ヒューマニスティックで適応性があること、3Dの没入型であること、音声、画像、ジェスチャーを利用していることを挙げた。
Mundie氏はMicrosoft Researchの実例を挙げて、spatial computingのコンセプトを説明した。Microsoftは今後数カ月のうちに社内数カ所の建物で新しいバーチャル受付アシスタントをテストする計画だ。アバターの形をしたアシスタントは、1000万平方フィート(約92万9031平方メートル)に及ぶMicrosoft本社(ワシントン州レドモンド)のさまざまな場所に人々を運ぶシャトルの手配を支援する。
このシステムには、多数のマイクロフォン、自然言語処理が組み込まれ、これらによりアバターは相手の発言を聞き、リアルタイムで応対する。このシステムは、服装によって人を区別するようにプログラムされている。たとえば、スーツを着た人は訪問者の可能性が高く、シャトルに乗る可能性は低いとされる。
プロトタイプのシステムはリソース食いで、アイドル時でも8コアプロセッサの40%を消費する。Mundie氏は、このようなシステムは、ゆくゆくは地方の診療所で利用できる可能性があると述べた。
「数千ドルで、ロボット対話が可能なアシスタントを配置できる。これにはさまざまな可能性があり、人々はアプリケーションを開発し、人とコンピュータとの対話方法を変えることができる」(Mundie氏)
Mundie氏の別のデモでは、ライブウェブの未来を垣間見ることができた。同氏が演じたのは、ある店内で北西ネイティブアメリカンのアートを扱った雑誌の表紙をスマートフォンで撮影し、ホテルに戻って、「Microsoft Surface」テクノロジを搭載したテーブルにそのスマートフォンを置くというシナリオだった。すると、スマートフォンに保存された写真がテーブルに表示され、同氏はそれらをドラッグした。システムは画像を分析し、仮想ウェブ世界の次のステップとして、写真をどのように使うかを判断した。システムは雑誌のデジタル版を見つけ、Mundie氏は雑誌のページを閲覧しはじめた。同氏は、雑誌の美術品の画像から、その美術品が展示されている仮想世界のストアにたどり着いた。
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