スマートフォンで「Google Maps」を開いてみよう。自分がいる場所に応じて道路や建物が表示されるほか、青い点が見えるはずだ。この青い点が「現在地」フォームにおけるユーザーを表しており、ユーザーの移動に合わせて点も移動する。この点は屋外を歩くときには便利だが、屋内(空港やショッピングモール、あるいは筆者が今いるカンファレンス会場など)を移動する場合には、どこともつかぬ場所にいるような気持ちにさせられてしまう。
Googleはそれを「Tango」という取り組みによって変えたいと考えている。
以前は「Project Tango」と呼ばれていた取り組みであり、屋内の世界を地図にしようという同社の意欲的な計画だ。Google Mapsは今でも絶大な人気を誇っており、ユーザー数は10億人を超える。Google Mapsは地図製作者の壮大な夢だが、Tangoの対象は、道路や河川、国立公園ではない。屋根の下に存在する、あらゆるものだ。具体的には、廊下、オフィス、パーティー会場などだが、Googleが狙う広告収入に関して特に重要なのは、室内にあるもの、つまり家具や棚に並んだ商品だろう。
中国のデバイスメーカーLenovoは米国時間6月9日、GoogleのTangoテクノロジを搭載した初のコンシューマー向けスマートフォンを発表した。「Phab 2 Pro」という製品名で、6.4インチ画面を採用し、500ドルで9月までに発売される予定だ(端末自体はかなり大きい。Lenovoのモバイルビジネスグループの責任者Jeff Meredith氏によると、画面が小さめのモデルと大きめのモデルの両方が用意されるという)。
だが、地図と青い点に話を戻そう。
屋内にいるときに「わかるのは、『空港にいる』ことだけだ。これではあまり役に立たつとは言えない」。Tangoの責任者Johnny Lee氏は、6月9日のインタビューでこう語った。話を聞いた場所はサンフランシスコのマソニックで、ここはGoogleとLenovoがTango搭載スマートフォンを発表した会場だ。青い点は、空港の手荷物受取所4番で待ち合わせ、などと約束するときにも、役には立たない。
「青い点を改良するということだ」と同氏は言う。
Googleにとってのメリットは大きい。Tangoが軌道に乗れば、屋外でも屋内でも、かつてない詳しさで物理世界の状況を捉えられる可能性がある。同社はすでにSkyboxという衛星企業を所有しており、地球の詳細な画像を宇宙から撮影することができる。
「物理的な世界の検索が、ウェブを検索するのと同じような形でできるというのは、非常に興味深い。いつかはそうなってほしいと期待している」(Lee氏)
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