Hiroshi Lockheimer氏は、Googleplexの中心部にある赤いロングソファーに腰掛けて、世界一の人気を誇るモバイルソフトウェア「Android」の最新の進歩について話し始めた。
スマートフォンの5台に4台にはAndroidが搭載されている。同OSの新世代が登場するたびに注目を浴びるのはそのためだ。Androidの2016年バージョンは、現在のところ「Android N」として知られており、Googleは先週、その詳細を明らにした。発表の場は、7000人の開発者が参加しカリフォルニア州マウンテンビューで開催された開発者会議「Google I/O」だ。
しかし、この記事で取り上げるのは、Googleが設計したVRシステム「Daydream」を動かす仮想現実モードや、Android Nの省電力機能といった新機能だけではない。「Fで始まる忌まわしい言葉」にGoogleが苦しめられないよう、2015年10月にAndroidの責任者に就任したLockheimer氏が進めている取り組みも紹介する。
「Fで始まる忌まわしい言葉」とは、例のあれではない。Googleで「F」と言えば「Fragmentation」、すなわち断片化を指す。簡単に言うと、Googleのパートナー各社(AT&TやVerizonといった550社以上のワイヤレスキャリア、サムスンやHTCを初めとする400社以上の端末メーカー)が、自社のスマートフォンやタブレットのAndroidを古いバージョンのまま放置して、最新かつ最高のバージョンを採用しないことだ。断片化はAndroidの世界制覇を阻む重大な問題の1つかもしれない。
Androidは2008年の登場以来、14のバージョンがリリースされてきた。現在のアクティブユーザー数は14億人だ。しかし、2015年のGoogle I/Oで発表され、10月にリリースされた「Android 6.0 Marshmallow」を使用しているAndroidユーザーは、2016年5月時点で約7.5%にすぎない。半数以上のユーザーは2012年の「Jelly Bean」や2013年の「KitKat」(Lockheimer氏のお気に入りのお菓子にちなんで名付けられた)を使っている。
つまり、全Androidユーザーの50%以上が、3~4年前にリリースされたバージョンを使用しているということだ。3~4年前というのは、テクノロジの世界では大昔とされる。一方、世界で2番目に人気のモバイルソフトウェアで、「iPhone」や「iPad」に搭載されているAppleの「iOS」では、約84%のユーザーが最新バージョンの「iOS 9」を使っている。Appleはよくこの点を指摘する。
Lockheimer氏は「(Marshmallowユーザーが)10%に満たないのは問題だ」と率直に認めた。「正直なところ、このAndroidの調査結果にがっかりしている」(Lockheimer氏)
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