Nikeは、FuelBandが大きな利益をもたらしたり、ウェアラブル市場を長期的に牽引したりすることを想定していたわけではない、とPiper JaffrayのNaughton氏は述べている。「Nikeには、同社が構築してきた途方もなく大きい消費者ネットワークとコミュニティーがある。そこに同社の強みがある。そこに同社の価値のすべてがある。同社は顧客を理解し、顧客との信頼を構築し、彼らの活動を基に顧客が何を求めているのかを理解することができる」(同氏)
Nikeが再びソフトウェアに注力し始めたことを「Nike+ Fuel Lab」ほど端的に示すものはない。サンフランシスコで2014年4月10日にオープンしたこの実験施設では、ワークアウトアプリ「RunKeeper」とパフォーマンストラッキングプラットフォーム「Strava」、フィットネスアプリ「MyFitnessPal」をはじめとする、さまざまなパートナーがNikeのNikeFuelシステムを組み込んだ製品を開発することができる。同社は、Nike+のエコシステム向けに何かを作ることに関心がある開発者に対して、2014年秋にNike+のAPIを公開する予定だ。
この取り組みによって、Nike+のユーザーベースは急増して1億人に達するだろう、とNikeのデジタルスポーツ担当バイスプレジデントのStefan Olander氏は述べている。
Appleがスマートウォッチかフィットネストラッカー、あるいは両者を統合したウェアラブルデバイスをリリースしたら、Nikeは最初のパートナーになるかもしれない。8年前にリリースされた「Nike+iPod Sports Kit」(Nikeのシューズに取り付け可能な小さなトラッカーが付属し、Nike製アームバンドに装着した「iPod」と通信することができた)は、今もAppleのウェブサイト上に専用ページがある。同トラッカー自体の価格は19ドルで、2006年5月の発売当初の小売価格より10ドル安くなっている。
Forbes誌が発表した2013年の「Fab 40」ブランドランキングによると、抜群の知名度を誇るNikeブランドの価値は173億ドルだという。NikeはAppleのマーケティングの強力な武器に、AppleはNike+プラットフォームのマーケティングの強力な武器になるだろう。
「Appleはハードウェア事業に携わっている。Nikeはスニーカー事業に携わっている。AppleがNikeを競争相手と見なしているとは私は思わない。Appleのハードウェア製品がNikeのソフトウェアをサポートする可能性もある。デバイスがNikeのアプリをサポートする限り、NikeはAppleがデバイスを販売することを喜んで受け入れるだろう」(Duffy氏)
Cook氏がNikeの取締役を務めていることから、NikeとAppleは口頭での約束によって、FuelBandをiOSでしか利用できない状況にしているのではないか、とずっと前からうわさになっている。Nikeはそうした憶測を否定してきた。
Nikeのデジタルスポーツ担当バイスプレジデントであるOlander氏が2013年10月、The Next Webとのインタビューの中で述べたところによると、Googleのソフトウェアを取り巻くエコシステムには断片化が発生しているので、Nikeが規模拡大よりも品質に関心を向けている間、FuelBandのAndroid版アプリは後回しにされてきたという。同氏は、「われわれはAndroidに対して何の敵意も抱いていないし、Android版アプリの開発を禁じられてもいない。ただ、Android版アプリを開発するのなら、正常に機能するものを作りたい、と考えているだけだ」と説明した。
Nikeがデバイス市場から撤退すれば、Androidと互換性のあるバージョンを待ちわびているFuelBandファンは間違いなく落胆するだろう。しかし、それが現実になれば、Nikeはソフトウェア中心のアプローチに移行して、ウェアラブルに注力できるようになる。同社の中核的なアプリがiOSデバイスおよびAndroidデバイスに既に対応しているウェアラブルの領域だ。
「Nikeはソフトウェア志向を強めるのだろうか。間違いなくそうなるだろう。同社が目指しているのは、自分たちのために可能な限り大きなコミュニティーを構築することだ」(Duffy氏)
「Nikeはガジェット企業になることを目指しているわけではない。同社の最大の関心事は、アスリートを向上させ続けることだ。より多くのパフォーマンスフットウェアやライフスタイルフットウェア、アパレル製品、さらに、それらより重要度では劣るが、用具類を売ることだ。結局のところ、Nike+コミュニティーは、同社がそうした消費者とのつながりを実際に構築していく場所なのだ」(Naughton氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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