今から20年前、米国大統領で数えると4代前になるが、Apple対Microsoftの戦いは一見の価値のあるものだった。それ以降は眠くなるような退屈な状態が続いていた。
今、その状況が変わろうとしている。
2012年秋、消費者の前にはかつてないほど多様なスマートフォンおよびタブレットデバイスの選択肢が広がるだろう。なぜなら、モバイルコンピューティング分野で長いこと落後者に甘んじてきたMicrosoftが、ようやく頭をもたげてきたからである。
ラザロのような復活を遂げたMicrosoftは、タブレットおよびスマートフォン向けの同社のモバイルOSに関して賞賛を受けている。首位の座にいるAppleは、2012年秋に発表されると言われている「iPhone 5」と「iPad mini」の準備を進めており、現在のところMicrosoftについて気を揉んでいる様子はない。しかし、Microsoftは久方ぶりに競争力を高めており、Appleを避けて通ろうとする人々にとっては、Googleの「Android」に代わる選択肢として検討する価値のある存在になっている。近年の歴史を考えると、このような日が来ると真剣に考えた人がどれほどいただろうか。
AppleとMicrosoftがPC時代の黎明期に初めて衝突したとき、両社の立場はほぼ対等だったが、その状況は長くは続かなかった。IBMとクローンメーカー各社はMicrosoftのOSである「DOS」を採用することで、どちらの企業がテクノロジ業界の覇者になる運命にあるのかを事実上決定付けたと言える。
Appleは1984年に「Macintosh」を発表し、現状を打開する消費者向けコンピュータになることを期待した。これで少しの間は興味深い展開になったが、Appleは1985年にSteve Jobs氏を解雇し、その後道を見失ってしまった。それからの同社は、クリエイティブな人々を除いては決して買いたいと思わないようなさらに高価なコンピュータを作り続けた。
やがて、MicrosoftはAppleを大きく突き放し、いわゆる「Windows」と「Mac」のOS戦争は、大見出しを使いたがる雑誌編集者の頭の中にしか存在しないようなものになった。現実は、Microsoftがデスクトップ事業でAppleを完膚なきまでに叩きのめし、残された唯一の疑問は、Appleがいつ廃業に追い込まれるのか、ということだけになった。
1997年に、Jobs氏は自身が共同創設したAppleの最高経営責任者(CEO)に復帰し、同社は再び事業体制を整えたが、その「事業」の規模はMicrosoftに比べると小さかった。Appleは1997会計年度終了時、71億ドルの売上高(その大半はハードウェアによるもの)と10億ドルの損失を計上した。Microsoftは同会計年度に113億6000万ドルの売上高と、34億5000万ドルの純利益をソフトウェア販売によって計上している。
しかし、Jobs氏が後に「ポストPC時代」と呼ぶことになる時代が到来し、形勢は逆転した。それは「iPod」、そして後に登場した「iTunes」の重大性をMicrosoftが見落としてしまった決定的な時期だった。Appleが2007年1月に「iPhone」を発表したとき、さらには2010年3月に業界を一変させる「iPad」というもう1つのデバイスを発表したときにも、Microsoftは行動を起こさなかった。
Microsoftはデスクトップ市場および法人市場を支配し続けたが、ますます勢いを増すモバイル市場では、Appleが群を抜いていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」