米CNET編集部注:この記事はMarty Wolf氏がゲストとして寄稿したものだ。記事の最後にWolf氏の略歴を掲載した。
このたび Microsoftが新しいタブレット「Surface」を発表したことで、MicrosoftとIntelが築き上げてきた数十年来のパートナーネットワークに、潤沢な資金を持つ手ごわい競争相手が出現した。Microsoftという相手である。
成功を収めてきたあらゆるパートナーネットワークと同様に、「Wintel」が繁栄した理由は、中心となるMicrosoftとIntelのほか、OEM企業、販売チャネルやそのほかの関係者など、あらゆるプレーヤーが個々にこの提携関係から利益を受けると同時に、ネットワーク自体の成長にも貢献してきたからだ。Wintelプラットフォームは、デスクトップやノートPCのコンピューティングアーキテクチャとしてはいまだに支配的な立場にある。
しかしデスクトップやノートPCは、目覚ましい速度でスマートフォンやタブレット、クラウドサービスに取って代わられようとしている。新しいポストPC世界の到来だ。そしてこれ以上は考えられないほどの驚くべき変化が起こる中で、MicrosoftのSurface発表は、Steve Ballmer氏とMicrosoftが、成功を遂げるためには何でもするつもりでいることを裏付けている。それには、Microsoftが構築に一役買い、過去30年にわたって同社の支配的立場の要であったパートナーネットワークを吹き飛ばしてしまうことも含まれている。そして同社には、そうするための財務的な持久力がある。
その持久力とはどのくらいだろうか。約600億ドルだ。
デスクトップビジネスからの利益は2010年にピークに達したとはいえ、Microsoftは依然としてデスクトップ市場の90%を占めており、最新の四半期報告の段階では、595億ドルの現金および現金同等物を含めて、1180億ドルの資産を持っている。これはAppleとHewlett-Packard(HP)に次ぐ第3位だ。
当然ながら、このところMicrosoftとSurfaceについては多くの記事が書かれている。その1つは、米CNETのCharles Cooper記者による、「As Microsoft retools, Ballmer has chance to rewrite his CEO legacy(Microsoftの改革は、Ballmer氏にとって最高経営責任者(CEO)としての業績を書き換えるチャンスだ)」というタイトルの記事である。
Cooper記者の分析の中心にあるのは、MicrosoftはAppleにどうやって対抗するつもりかという点である。具体的に言えば、スマートな新タブレットのSurfaceや、次世代の「Windows Phone」に搭載予定の「Windows Phone 8」、そしてフル機能を備えたモバイル決済システムといった新機能の可能性だ。Cooper記者の言葉を借りれば、「Appleよ、参ったか」となるわけだ。
Appleとの競争は確かに、Microsoftによる、こうしたいちかばちかの大胆な取り組みの原動力の1つになっている。しかし筆者の意見では、この話の要点となるのは、実は「OEMとチャネルパートナーよ、参ったか」ということなのだ。
公平を期するために言うと、SurfaceはOEM企業のハードウェア製品設計を向上させようとするMicrosoftの試みに過ぎず、それがうまくいけば同社はすぐにハードウェアビジネスから撤退すると考える人もいる。これは見当違いも甚だしい見方であり、パートナー企業は真に受けない方がよい。
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