アップル提訴における米司法省の勝算--専門家が見る電子書籍独禁法訴訟の行方

Declan McCullagh Greg Sandoval (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年04月18日 07時30分

 米司法省は、電子書籍の価格協定があったとしてAppleを提訴しているが、それは独占禁止法の適用範囲を拡大解釈したものであり、敗北に終わる可能性が高い。

 同様のことが1982年に起きている。そのときにきまりの悪い思いをしたのは米司法省で、IBMに対する独占禁止法訴訟には「法的根拠がない」ことを認め、訴訟を取り下げた。また、2001年には、Microsoftを2社の別々の企業に分割することで独占禁止法を改定しようとする米司法省の野心的な試みを米連邦控訴裁判所が退けている

 オレゴン州のルイス・アンド・クラーク・ロースクールで独占禁止法を教え、International Center for Law and Economicsを運営するGeoffrey Manne氏は、「Appleに対する訴訟は、出版社に対してよりも難しい」と話す。

 その理由の1つは、米司法省の36ページの訴状の中にある。その文書では、出版社各社がロンドンのホテルに集まって朝食をとったこと、また、Wine Spectator誌の「Best of Award of Excellence」受賞を誇るマンハッタンの高級レストラン、Picholineでディナーをともにしたことが詳述されている。重要なのは、Appleが同席していなかったことだ。

 ハートフォード大学の経済学名誉教授Dominick Armentano氏によると、米司法省は「Appleに対してよりも、出版社に対する訴訟の方ではるかに分が良い」という。同氏は「Antitrust and Monopoly」の著者で、現在はカリフォルニア州オークランドのThe Independent Instituteに所属している。「もしさまざまな出版社の最高経営責任者(CEO)がホテルの部屋に集まり価格について話し合ったのだとしたら、彼らはもう救いようがない」状況であり、和解した方がいい、と同氏は話す。

 多作な法学者で、ニューヨーク大学法学部教授のRichard Epstein氏は、さらに踏み込んだ意見を述べている。Epstein氏は4月11日に発表された評論で、米司法省の出版社に対する訴訟についても「困難な点」があると主張した。「全体像が分かるまで少し時間がかかるだろうが、ここで言えるのは、この訴訟は誤りである可能性が高いということだ」(Epstein氏)

 司法長官のEric Holder氏は11日にワシントンDCで行った記者会見で、被告に名を連ねる各企業が「共謀」したとして非難した。

米司法長官のEric Holder氏は米国時間4月11日、米国民を「反競争的な損害」から守るためにAppleに対する訴訟が必要だったと述べた。同氏が言及しなかったのは、その訴訟は失敗する可能性が高いということだ。
米司法長官のEric Holder氏は米国時間4月11日、米国民を「反競争的な損害」から守るためにAppleに対する訴訟が必要だったと述べた。同氏が言及しなかったのは、その訴訟は失敗する可能性が高いということだ。
提供:CBS News

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