まず、ワシントン州に拠点を置くMicrosoftが、カリフォルニア州に拠点を置くGoogleの反競争的行為をベルギーで申し立てたことには、少し違和感がある。しかし、MicrosoftがGoogleとの新たな戦いの場に欧州を選んだのは、支配的な企業を規制する傾向の強い欧州規制当局の方がより迅速な対応を期待できるという単純な理由からだった。
MicrosoftのゼネラルカウンセルであるBrad Smith氏は、米国時間3月30日夜のブログ投稿で欧州委員会(EC)への提訴を明らかにした。Microsoftの主張によると、Googleは自社の検索アルゴリズムを操作して、自社サービスをライバル製品よりも高くランク付けしたり、YouTubeコンテンツへのアクセスを妨害して、競合の検索エンジンが動画を見つけにくくしたりすることによって、欧州市場での競争を阻害しているという。
Microsoftが米国ではなく欧州で提訴に踏み切ったことには多くの理由がある。まず、欧州規制当局はGoogleの行為に対する調査を既に開始していたため、Microsoftは欧州で申し立てた。さらに、反競争的行為を証明する負担は、多くの場合米国よりも欧州の方が軽いことを、Microsoftは自身の欧州規制当局との戦いから学んでいた。MicrosoftがECに起こしてほしいと考えているような訴訟ではなおさらだ。
アイオワ大学法学部の独占禁止法の教授であるHerbert Hovenkamp氏は、「Microsoftがこの提訴で勝利を収める可能性は、欧州市場の方がはるかに高い」と述べる。欧州では、市場で支配的な立場にある企業は、ライバル企業が競争するために必要な技術データを共有する義務を負っている。したがって、Microsoftが、GoogleはYouTubeのようなサービスの情報を調べたり、インデックス化したりするための技術データを共有しようとしないと主張すれば、ECに聞き入れられる可能性が高いとHovenkamp氏は言う。
実際に、Microsoftはオープンソースソフトウェア開発者に「Windows」サーバソフトウェアの相互運用性の情報を開示しなかったとき、まさにこの規制に抵触した。欧州連合(EU)規制当局との長年にわたる論争を経て、同社は2007年、欧州法によって開示が求められているデータを提供することに同意した。
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