2010年後半には、作家自身が起業する形で電子書籍に参入するケースも見られた。作家の村上龍氏は11月、音楽やデジタルコンテンツの企画制作を手がけるグリオとともに「G2010」を設立。自身や賛同する作家のコンテンツをiPhoneやiPad、Androidで展開していくことを明らかにした。漫画家の赤松健氏が代表取締役社長を務めるJコミは、絶版漫画の無料配信サービスを2011年1月より正式展開することを発表しており、現在試験サービスを提供中だ。
出版社よりITベンチャーと組む方が効率的--村上龍氏、電子書籍の制作販売する新会社設立
携帯電話キャリア各社の動きも活発だ。ソフトバンクグループの新会社ビューンが手がけるiPhone、iPad向けの定額サービス「ビューン」は、6月1日にサービスを開始するも、直後にアクセス過多で提供を一時見合わせることになるなど話題を集めた。
ビューン、iPadやソフトバンクケータイ向けに31誌が読める定額制コンテンツ配信
その1カ月後の7月には、KDDIがソニー、凸版印刷、朝日新聞と電子書籍配信に向けて事業準備会社の設立を発表。11月には事業準備会社を「ブックリスタ」として事業会社化。12月25日に開始した「LISMO Book Store」などへのコンテンツ提供を開始した。8月に大日本印刷と電子書籍分野での業務提携を発表していたNTTドコモも、12月に新会社「トゥ・ディファクト」を設立。2011年1月からはドコモのAndroid端末向けに電子書籍を販売することを発表している。
ソニーら電子書籍4社連合、準備会社を「ブックリスタ」として事業会社化
KDDI、電子書籍ストア「LISMO Book Store」を12月25日にオープン
DNP、ドコモと電子出版事業会社を設立--2011年1月上旬から電子書籍を販売
Kindle DXやiPadが2010年前半に発表、発売されたものの、電子書籍向けの端末が出そろったといえるのは2010年末になってからだった。シャープの「GALAPAGOS」、ソニーの「Reader」はいずれも12月10日の発売。前述のLISMO Book Store向け端末「biblio Leaf SP02」は12月25日の発売となった。
【レビュー】ソニー電子書籍端末「Reader」--ストアの品ぞろえと使い勝手をチェック
解説:「GALAPAGOS」タブレットの完全直販に踏み切ったシャープの思惑
米国では、Googleが12月に電子書籍の販売サービス「Google eBooks」を開始するなど、電子書籍ビジネスはさらに拡大を見せている。同サービスは2011年内にも日本でも展開予定。サービス、端末ともにそろって市場が本格的に拡大するのは2011年以降になるだろう。
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