今回のような、個別に存在するバーチャル世界の機能を1つにまとめあげるという発想自体は、特に新しいものではない。1989年には、Electronic Artsの創設者Trip Hawkins氏が数人の同僚とともに、アバターに複数の世界を行き来させるというアイデアで特許を出願している。また、2003年から2004年にかけてSecond LifeあるいはThere.comに加わった人にとっては、Second Life内でより優れたThereのユーザーインターフェースを利用したり、もっと面白いユーザー生成コンテンツ(UGC)を試したりする上で、相互運用性というのは当たり前の発想だったはずだ。
しかし、1つのアバターを複数の世界に居住させたい人や、1度作れば異なるプラットフォームでも使えるような3Dオブジェクトを作成したいと考える人は数多くいるにもかかわらず、進歩らしい進歩はこれまでほとんどなかった。
そして、一部の人たちは、そのことにまったく問題を感じていない。
バーチャル世界プラットフォームの開発企業Areaeの創設者Raph Koster氏は、9日の会議のあと、自身のブログで以下のように述べている。「この会議自体に、(ある前提が)存在しているように思えて、その点が私には少々気がかりだった。それは、アバターやオブジェクトを複数の世界で横断的に利用することは、実際に市場全体のほぼ一致したニーズだ、という考え方だ」
さらにこのブログの中で、Koster氏は「ユーザー数および売上高でバーチャル世界の98%を占めるエンターテインメント関連の企業が、この会議にはあまり出席していなかった」ことが奇妙に思えた、と書いている。
実際、まったく予想外だったのは、相互運用性の推進運動がIBMやCiscoのようなテクノロジ企業によって主導されているということだ。どちらの会社も、実際にバーチャル世界を作っているわけではない。
しかし、IBMはSecond Lifeのようなバーチャル環境への取り組みに力を注いでおり、バーチャル世界に関心をもつ顧客を多く擁している。また、Renaud氏によると、Ciscoも、それぞれのバーチャル世界を実現するための根幹となる技術の開発を通して、この分野に深く関わっているという。
Renaud氏は、11日の基調講演でも、同氏の推計で4億6500万人にのぼるという全世界のバーチャル世界ユーザーに対し、ある程度の共通のユーザビリティを提供する方法を主なテーマとしていた。同氏の考えでは、複数のサービス間の相互運用性を模索するのは、ベータマックス対VHSのようなフォーマット対立が1世代にわたって続き、非難されるような事態を避けるためでもあるという。
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