映画館の迫力サウンドを日々の生活に--THXの新たな試み - (page 2)

文:Greg Sandoval(CNET News.com) 翻訳校正:株式会社アークコミュニケーションズ、瀧野恒子、國分真人2007年08月02日 16時00分

 特定の映画に合わせて画像の縦横比や音のバランスを最後に調整したのはいつだったか、読者は覚えておられるだろうか。

音響設計

 THXにとってBlackbirdがどれほど大きな飛躍を意味するのかは、THXのルーツに目を向けると理解できる。一般の人々には「THX」が最先端の音響システムや録音システムを意味すると認識されていることが多いようだが、実はそうではない。

 映画「エイリアン2」では、Sigourney Weaver演じる女性宇宙飛行士が強酸性の血液を持つおぞましい怪物と顔をつきあわせたシーンで、怪物の呼吸する音がまるで映画館の隣の席から聞こえてくるように感じられた。また、映画「プライベート・ライアン」で兵士に扮したTom Hanksがノルマンディの砂浜を突撃する場面では、まるで銃弾が自分の頭上をかすめて通り過ぎるような音を体感できた。そのすばらしい音響効果への賛辞は、それぞれの映画を監督したJames Cameron氏とSteven Spielberg氏に捧げられた。

 しかし、すべてのニュアンスが観客の耳に確実に届くようにしたのはTHXの功績だ。

 これは簡単なことではない。THXの認定を受けた映画館では、同社の技師が設計図を詳しく調べ、最大限の音響性能が得られるよう建物の設計に協力した。隣接する部屋やロビーからの騒音を遮断するために、どの映画館も厚い壁とカーペットで観客席の防音対策を行った。固い素材は不要な反響音を発生させることがあるからだ。

 音響システムの規格作りは地味な仕事であり、はなばなしい宇宙時代を思わせるLucas氏のイメージには確かにそぐわない。しかしHewitt氏によれば、株式非公開企業であるTHXは長年にわたって利益を上げている。「映画館が認定を受けるために支払う費用は9000ドルから1万5000ドルの間であり、全世界で2000以上の映画館がすでに認定を受けた」(Hewitt氏)

 5年前にLucasfilmから分離独立したTHXは、これまでの評価と専門知識が他の産業部門での競争に役立つと確信している。

 THXは現在、カーオーディオシステムや家庭用オーディオシステム、ビデオゲーム、高性能テレビ、家庭用プロジェクター、DVD、録音スタジオの認定事業を手がけ、ある程度の成功を収めている。たとえばNews.comを運営するCNETでは、THX II認定カーオーディオシステムを2006年のベスト商品に選んだ。

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