Intellectual Venturesには最近まで、同社が一流の発明家らと協力していることをどこか隠そうとするところがあった。Myhrrold氏は昨年、同社が遺伝子分野の草分けであるLeroy Hood氏と協力していることを明らかにしたが、しかしこの時にはほかの人物のことには触れなかった。
同社では、まず発明家が集まってブレインストーミングを行う。そして、有望なアイデアについて特許を取得したり、それをもとにプロトタイプを開発してメーカーにライセンス供与するといったホワイトカラーの力仕事は、弁護士や特許の専門家が担当する仕組みになっている。
「われわれの目標は、何かを発明することだ。わが社は約5年後(の製品化)を見込んで開発に取り組んでいる。その理由は、どの会社でもほぼすべてのエンジニアが、0〜3年後の製品化を目指して仕事をしているからだ。実際には3〜5年後にずれこむかもしれないが、計画段階では0〜3年が想定されている」とMyhrrold氏は言う。「わが社は製品を製造するつもりはないので、収入を得るためには他の誰かを説得して製品化することが必要になる」(Myhrrold氏)
Intellectual Venturesに対する不安のうち、かなりの部分は、同社が多くの面で謎に包まれたままであるという事実から派生したものであるようだ。同社は年間約300件の特許を申請しているが、これまでのところ特許が付与されたものはわずか1件しかない。同社は通常、特許が認められるまではロイヤリティーの支払いを求めることはない。また訴訟も提起されていない。今後数ヶ月のうちに、なんらかの契約が発表される可能性がある。
Intellectual Venturesについて法律関係者や各社の幹部らにコメントを求めたところ、同社が法的なシステムから収入を得る可能性が高いと断言したものが多かった。ただし、同社のビジネスプランを直接的または正確に把握しているわけではないことも認めた(また、これらの情報筋は匿名を要求した)
Myhrvold氏は特許関連の訴訟を起こすことが目標ではないとしつつ、IT業界では訴訟は常についてまわる事柄だと認めた。これまで、IT業界の各社は特許訴訟をおそれないアプローチをとってきており、特許保有者やロイヤリティの支払いを求める声を無視してきた。
その結果、ライセンス契約にもとづいてロイヤリティを支払っていれば数百万ドルで済んだ話が裁判にもつれ込んだ結果、数百・数千万ドルの支払いを命じる判決が出されるケースが出てきている。たとえば、eBayでは何年も前に、同社の「Buy it Now」機能に対する特許のライセンスを、MercExchangeから2、3百万ドルで取得できるチャンスがあったが、しかし同社は訴訟のリスクを冒すことに決めたと、Myhrvoldは語った。この裁判で、その後法廷はMercExchangeに対して2500万ドルの支払いを命じた。
IT業界のなかには、裁判所のこの判断に意義を唱えるものも多く、この訴訟ではeBayに代わって申立書を提出している。反対に、いくつかの医薬品メーカーや化学メーカーなどはMercExchangeを支持している。
Myhrvold氏は、特許権を主張する個人は、簡単な金儲けを狙う弁護士とは違うと付け加えた。 Intellectual Venturesは、カリフォルニア大学に多額のロイヤリティを支払っている企業の1つであり、また多くの特許はライセンス供与できる相手の数も少ない。
Myhrvold氏は、これらの複雑な特許を売り込むことは簡単ではないと断言した。「われわれは、半導体関連の物理にかかわる特許を数多く保有している。これらはテレビの通販番組で売れるようなものではない」(Myhrvold氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する