全地球測位システム(GPS)は、多くの場所で利用でき、信頼性があり、無償だというのが一般的な認識になっている。しかし、米政府がいつまでGPSを提供できるかは不確かである。車のダッシュボードにある地図をまだ捨てない方が良いかもしれない。
米国は、既存のGPS衛星を近代化および補充するため、2013年までに58億ドル以上の資金を投入する計画だ。しかし、GPSを管轄する米空軍は、8億7000万ドルの予算超過と「大きな」技術的問題に直面し、次世代衛星の製造および配備を予定通りに進めることに苦戦している。古い衛星が機能しなくなる前に2010年にも開発が完了しない場合、GPSユーザーに広範囲な影響が発生する可能性がでてくる、と米政府会計局(Government Accountability Office:GAO)の報告書が警告した(PDF)。
問題の一部に調達「改革」プログラムがある。このプログラムは、多くの責任を受託業者に移管することで事態の改善を図ったが、要件の増加、仕様の緩和、部品納品の遅れ、テストの失敗、性能の低下が代わりに生じた。
さらに、同プログラムは管理の継続性が欠如するという問題にも見舞われた。統率力が拡散し、納品の遅延と費用の膨張の原因となった。プログラムの一部には管理者が7名もおり、そのうち最初の5名が1年で交代していた。関係する職員と組織の多さが、仕様の削減と管理を難しくした、とGAOは述べている。
そして、合併があった。例えば、Rockwellの航空宇宙および防衛部門は、GPS契約の直後にBoeingに買収された。1年後、BoeingはMcDonnell Douglasと合併した。さらに、Boeingは、Hughes Electronicsの宇宙および通信事業を買収した。この間常に、「有能な人材と知識」が削られていった。
GPSの機能が低下した場合、大陸間を飛行する航空便に遅延やキャンセルが生じ、911サービスの運用が低下する。また、「誘導爆弾」の精度が落ちたりするなどの影響がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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