アイピーモバイルは9月28日、資金調達の難航や免許返上、事業断念説などが報じられる中、代表取締役社長の竹内一斉氏が記者会見し、「現時点では免許返上はまったく考えていない」と断言したものの、同氏を含めた現取締役4人が退陣する見通しになり、先行きは一段と不透明になった。
森トラストが28日午後に、アイピーモバイルに対して杉村五男氏(アイピーモバイルの取締役会長)を除く現取締役4人の解任と新しい取締役の選任という内容で株主総会の開催を請求した。しかも、この請求は杉村氏の要請に基づいたとしている。
これについて竹内氏は「私たちとしては森トラストを筆頭株主として考えているが、現在の森トラストの認識というのは保有株式を杉村五男氏に渡したとしている」と前置きした上で、この請求に基づいて速やかに株主総会を開催する手続きを踏んで、内容も含めて要求どおりに進めていく方針だ。株主総会の日程はまだ決まっていない。新しい取締役の名前も書面には提示してあったが、「これについてはいま言うべきではない」(竹内氏)として明かさなかった。
要求どおり進めていく理由について竹内氏は、「4月から森トラストに筆頭株主になってもらったが、なかなか株主としてのアクションを取っていただけなかったので、こういったかたちででもまずはアクションを起こしてもらったいう点で感謝しているし、前進したと考えている」ということからだ。さらに、竹内氏の背景にあるのは、自分が経営陣にあろうと、なかろうと、「かならず何としてでもワイヤレスブロードバンドの新事業を立ち上げたい」という思いがあるためで、この発言を何度も繰り返した。
しかし、この一方で森トラストは「今後一切アイピーモバイルや関連事業に関わることはない」と断言した。森トラストとしては、9月19日付けで全保有株式を杉村氏に売却(額は非公表)したが、まだ名義を書き換えていないため、株主総会を開催する請求はあくまでも便宜上、杉村氏の要望により手続きだけを代行したにすぎないという認識だ。そのため、「書面の内容などにはまったく関知していない」と言う。
また、一時アイピーモバイルの株式を保有していて返却したNextWave Wirelessは、今回の株主総会開催の請求について「すでに全株式は森トラストに返却しているので、何もコメントする立場にない」とした。今後については「事業そのものに直接関わることはないが、以前からのベンダーとしてのおつきあいは継続する」と言う。
アイピーモバイルは、2GHz帯を利用したワイヤレスサービスを11月までに事業として正式にサービスを開始できないと、交付された免許を返上しなければならない。竹内氏は、「今後の事業展開に関してはおそらく新しい経営体制で進めていくかたちになると思うので、その段階で改めてアナウンスがあるのではないか」としているが、「社内にいるかいないかに関わらず、事業化、サービス開始に向けた協力は惜しまない」と諦めない姿勢を繰り返し見せた。
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