永井美智子(編集部)
2007/06/20 01:11
総務省は2007年秋にも、モバイルWiMAXと呼ばれる高速移動通信技術を使ったサービスを提供する事業者に2.5GHz帯の免許を割り当てる方針だ。現在第3世代携帯電話サービス(3G)を提供している事業者が対象とならないため、NTTドコモやKDDIが反発している。
このモバイルWiMAXは、広帯域の周波数を利用するため大容量のデータ通信が可能になること、またIPベースのため既存の電話通信網よりもネットワーク構築コストを下げられることから注目されている。
その一方で、利用する周波数帯が2.5GHz帯と高いことから建物の陰などでは電波が届きにくく、その有効性に疑問を唱える専門家もいる。
はたして、モバイルWiMAXはユーザーにどんな恩恵をもたらすのだろうか。WiMAX関連機器を製造するNokia Siemens Networksのアジアパシフィック地域技術長で、日本市場に詳しいMichael Murphy氏に話を聞いた。
Murphy氏は2006年までNokiaの日本担当カントリーマネージャーを務めており、NTTなどの動向にも詳しいWiMAXは開けた土地ほどその恩恵は大きい。たとえばインドや中国のように大陸が広く、固定通信網が引きにくい場所でも、無線であれば簡単にブロードバンド回線が引ける。こういった国に比べると日本でのニーズは低い、とMurphy氏は話す。ただしそれは、十分な周波数がある場合の話だ。
実際、日本では都市部を中心に携帯電話の周波数がひっ迫している。ユーザーが密集し、しかも楽曲や動画など大容量データをやりとりするためだ。モバイルWiMAXによって新たな周波数が利用できるようになれば、その分通信事業者はより多くのサービスを展開できるようになる。NTTドコモやKDDIも、モバイルWiMAXにもっとも期待しているのは、都市部での周波数ひっ迫の緩和だ。
Murphy氏はこのほかにも、2つの恩恵があると指摘する。1つめは、新しい端末の登場だ。半導体大手のIntelは、モバイルWiMAXに力を入れている企業の1つだ。新しい事業者が携帯端末の分野に参入することで、これまでにない端末が市場に登場する可能性がある。
もう1つは通信事業者間の新しい競争が生まれることだ。前述の通り、総務省は2.5GHz帯を新規事業者に割り当てようとしている。「競争が生まれるということは、料金が安くなる可能性があるということだ」(Murphy氏)。現在ではアッカ・ネットワークスや福井県のケーブルテレビ事業者である嶺南ケーブルネットワークなどが名乗りを上げている。
既存事業者の多様な新サービス、これまでにない端末、新規事業者の低料金かつ新しいサービス――これらは本当に実現するのだろうか。総務省がどの事業者に周波数を割り当てるかが肝になるだろう。総務省は6月15日までに寄せられたパブリックコメントを踏まえて周波数割当方針を電波監理審議会に諮問し、2007年秋に事業者を決定する計画だ。
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