KDDI、沖電気工業、イナゴの3社は3月24日、KDDIの開発したRFID(電子ICタグ)リーダー機能つき携帯電話の実証実験を開始した。埼玉県さいたま市に位置する店舗数約110店舗のショッピングモール「ステラモール」にて、RFIDを装備した電子ポスターなどの読み取りを行い、RFIDを用いた情報提供サービスの有効性を検証する。
今回の実験では、KDDIが端末の開発とRFIDの提供を行い、沖電気はサーバプラットフォームの提供を、またイナゴは携帯電話に表示されるインターフェース部分を開発した。コンテンツはステラモールの各店舗より用意される。
この実証実験は、約300名のモニターにリーダー機能のついた携帯端末を貸し出し、同日から4月3日まで行われる。モール内には、タグシールや電子ポスターといった形式でRFIDが設置されている。タグシールとして使われているRFIDは、タグそのものが電波を発するのではなく、リーダーが電波を飛ばしてタグの内容を読み取るパッシブタイプだ。このタイプは約200枚用意されており、モール内で紙のポスターと共に貼られている(写真1)。一方、電子ポスター(写真2)に使われているRFID(写真3)は、タグそのものから電波を飛ばして情報発信するアクティブタイプとなっている。つまり今回のサービスでは、タグシールに端末を近づけてユーザーが自ら情報を入手する「プル型」のサービスに加え、電子ポスターの上部に設置されたRFIDから、最大距離10m範囲のユーザーに自動的に情報を送る「プッシュ型」のサービスも実現している。
電子ポスターは、モールの各階に1台ずつ設置されており、モール内のほぼ全店舗の案内が数秒ごとに順次表示される。ポスター上部に設置されたRFIDから、近くを通りかかったユーザーの携帯電話に、その時点で表示されているポスターの店舗の詳細やお買い得情報が自動配信される。ユーザーは、プル型サービスのように立ち止まって端末を近づけなくても、自動的にモール内の情報が入手可能となる。
3社では、「RFIDを使ったプッシュ型サービスは業界初だ」としている。プッシュ型のサービスがユーザーに受け入れられるかどうかはわからないとしながらも、今回の実証実験ではユーザーからの意見を取り入れる意味も含め、すべての情報を自動配信する。また、プッシュ型とプル型で配信された情報がそれぞれどのように活用されているか、店舗の売上との相関関係があるのかといったことも検証していく。実用化の時期に関しては、「他の場所でも実験を行ってからとなるので、現時点では未定」(KDDI 執行役員 技術開発本部長 村上仁己氏)としている。
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