地元住民が集団発病した原因が、携帯電話の基地局にあるとして、住民がこれを破壊する例が、英国で連続して起こっている。だが、携帯電話業界は、これが3Gサービスの展開を妨げることにはならないと考えている。
英国中西部のウェストミッドランズで、携帯電話に電波を送る基地局のマストが破壊された事件は、携帯電話基地局に反対する運動家が実際に行動を起こしはじめ、3Gサービスの提供を阻害しかねないという懸念に発展している。
サットンコールドフィールドの近くのウィシャウにある基地局が倒されたのは、11月6日(現地時間)早朝のことだ。この基地局が設置されたのは10年前だが、近隣の住民は同地域でいくつもの深刻な病気が発生しているのは、この基地局に原因があるとして、前々からこの基地局を非難していた。
基地局を取り壊した後も、地域の住民は、新たな基地局が設置されないようにと、寝ずの番で見張りに立っている。なお、警察ではこの基地局の取り壊しを、法律に触れる破壊行為として扱っているという。
ウィシャウのこの攻撃とほぼ時を同じくして、イングランド中西部のダッドリーでもモバイルネットワーク機器に火がつけられた事件が起こっている。また、この数カ月前には、イングランド南西部のデヴォンにあるティバートンで、Hutchison 3Gの基地局が倒されている。その他にも、北アイルランドでは少なくても2本の基地局が破壊されている。これらの行為は、携帯電話の電波を中継する基地局のマストによって健康を脅かされているのではないかと感じ、このことを恐れた地域住民が直接的な行動に出始めたことを示すものといえる。
英国では現在、数千本もの3Gネットワーク用の基地局が追加設置中で、これがモバイル反対派グループの数が急増している原因と思われる。だが、携帯電話業界によると、これらの攻撃は新しいデータサービスの提供に大きな影響を与えるものではないという。それでも、関係者には深刻なダメージを与えかねない。
英Vodafone、仏Orange、独T-mobile、英O2、香港のHutchisonを代表するMobile Operators Association(MOA)の広報担当は、「携帯電話の基地局を倒すのは、倒す人、近くに住む人の両方にとって危険だ」と述べている。
上記の携帯電話5社はみな3Gのライセンスを保有しており、2007年までに少なくても英国の80%をカバーする3Gネットワークを構築しなければならない。MOAでは、必要な基地局を追加で設置することに大きな問題はないはずだとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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