米で「TelecomNext」カンファレンス開催--話題の中心はテレビか

文:Marguerite Reardon(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年03月22日 16時04分

 今週ラスベガスに電気通信業界で最も大きな影響力を持つ各社の幹部らが集い、毎年恒例のイベントに参加しているが、話題の中心は電話よりもテレビになりそうだ。

 Verizon Communicationsの最高経営責任者(CEO)であるIvan Seidenberg氏、AT&TのEdward Whitacre氏、The Walt Disney CompanyのCEOであるRobert A. Iger氏、Time Warner CableのCEOであるGlenn Brit氏、連邦通信委員会(FCC)のKevin Martin委員長、といった業界の大物が、米国時間20日から始まった「TelecomNext」で基調講演を行う。

 多岐にわたる講演者の顔ぶれをみると、電話業界が大変動を遂げるための覚悟を決めていることは想像に難くない。伝統的な電気通信市場では、すでにこれを見越した統合が始まっている。昨年のSBC CommunicationsとAT&T、そしてVerizon CommunicationsとMCIとの巨大合併に続き、新生AT&Tは先ごろ地域電話会社のBellSouthを670億ドルで買収すると発表している。

 分割から20年が経ち、統合により元の姿を戻しつつある新生AT&Tは、以前とは全く異なる競争環境に直面している。電話会社とケーブル会社はまもなく、ブロードバンドだけでなく、テレビや電話の顧客についても直接対決することになるだろう。

 新しい技術の発展により、Disneyなどのコンテンツ保有企業や、GoogleやYahooといったインターネット企業も、電話や動画サービスを提供することができるようになるため、これらの企業もまたケーブル会社や電話会社の競争相手になり得る可能性もある。

 「われわれは過去20年間で電気通信業界が劇的に変化するのを目にしてきた」とアトランタを拠点に活動する業界アナリストJeff Kagan氏は述べている。「さらに今後10年間でこれが再び変化するのを見ることになる。そして、いずれは消費者により良いサービスがさらに低コストで提供されるという結果になるはずだ」(Kagan氏)

 2大電話会社--AT&TとVerizon--がテレビ事業に進出しようとしているのはよく知られている。両社はここ数年、何十億ドルもかけてネットワークのアップグレードを進めてきた。FTTH網を構築中のVerizonは、すでにテキサスとフロリダを含む複数の州の一部の地域でテレビ配信サービスを提供している。AT&Tもまた同社のアップグレードしたネットワークを利用して一部の地域でテレビ配信サービスを提供し始めている。

 電話会社側は、ケーブル会社が独自の電話サービスを消費者に提供するようになったことから、テレビ市場への参入を余儀なくされてきた。Time Warner Cableは、自社のテレビおよび高速ブロードバンドサービスにバンドルする形で電話サービスを提供しているが、すでに驚くべきペースで新規加入者が増加している。2005年だけをとっても、Time Warnerの電話サービスを申し込んだ新規加入者の数は約88万人に上り、全体で110万人に達した。また、ComcastやCablevisionのような他のケーブル会社でも、電話サービスが著しい伸びを示している。

 この流れはここ数年続いていうものだが、一部のアナリストは2006年にはテーブル会社と電話会社が実際に真っ向から競争し始める可能性があるとし、その範囲もブロードバンドユーザーだけでなく、家庭に通じる通信回線すべてを含んだものになると述べている。

 「今年は、電話会社とケーブル会社が同じ内容のバンドルサービスを提供することになるだろう」とKagan氏は言う。「消費者として、われわれはこれまで常に両方の会社と取り引きしてきた。しかし今後はどちらか一方を選ぶことになるだろう。そしてそれは市場に一大変化をもたらす」(Kagan氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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